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中国の不動産バブルにも変調

シンクタンク、オックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)が発表した最新の研究報告書は、世界不動産市場の価格下落を警告した。各国の中でも、住宅価格がピークとなった中国が、一番最初に急落する恐れがあるとした。米メディア・マーケットウォッチが伝えた。
同報告書は、世界各国の住宅価格と住宅投資は落ち込み傾向にあり、2020年、全世界の国内総生産GDP)成長率が過去10年間で最低水準の2.2%に下落するとの見通しを示した。不動産価格の下落で世界各地に与信危機が発生すれば、2020年の全世界の成長率は2%以下に下落する可能性も排除できないという。
報告書は中国で10年間続いた不動産バブルによって、不動産価格がピークを迎えたという。国際決済銀行(Bank of International Settlements、BIS)の統計によると、住宅購入のための家庭債務は6兆8000億ドル(約733兆円)に達した。個人債務(主に住宅担保ローン関連)はこの3年で70%増加した。中国での住宅投資は減速しており、新築住宅の建設件数も減少しているため、世界各国のなかで真っ先に中国が不動産価格の急落に見舞われるとの見方を示した。
中国紙・証券日報は6月14日、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)トップの郭樹清主席が上海市で開催された経済フォーラムで演説を行い、不動産市場に言及したと報じた。郭氏は、「近年、一部の都市で家計部門債務が急速に拡大している。多くの家庭の負債率が厳しい水準に達した。さらに深刻なのは、新しく増えた貯蓄の半分が不動産セクターに投じられている」と強い懸念を示した。
また同紙によると、中国の大手国有企業15社が5月1日から6月14日までに、不動産事業の売却を相次いで行った。

中国国有企業大手、相次いで不動産事業を売却=中国メディア

中国国有大手企業約15社がこのほど、不動産事業を相次いで売却したことが報じられた。専門家は、米中貿易戦の影響で国内景気の後退を背景に、国有企業が不動産市場の見通しに関して悲観的だと指摘した。
中国紙・証券日報によると、北京市不動産所有権取引所の公開情報では5月1日~6月14日の間に、市内では20件の不動産事業所有権の譲渡が行われた。1~4月までの譲渡件数はわずか2件で、昨年4~12月では10件しかなかった。
報道は、20件の譲渡のうち、15件は中央政府の管轄下にある国有大手企業が譲渡側となっている。エネルギー大手の中国中化集団有限公司(シノケム)、航空機製造企業の中国航空工業集団、中国軍傘下の中国保利集団、IT企業の中国電子情報産業集団(CEC)などが含まれている。
業界関係者は証券日報に対して、不動産事業を売却した国有企業が急激に増えたことには、不動産市場の先行き不透明感のほかに、企業自身の債務圧力、資金難なども影響しているとの見方を示した。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、不動産市場に詳しい中国人学者は、国有企業傘下の不動産開発部門が進めるプロジェクトの一部は、住宅購入規制が厳しく実施されている地域にあるため、住宅販売の不調が続いていると指摘した。
中国金融学者の賀江兵氏は、国有企業が今後当局の不動産政策変化に関して、事前に情報を得たため、相次いで不動産事業を売却したのではないかと推測した。


【ニューヨーク=伴百江】世界の不動産市場で中国マネーによる購入の勢いが弱まっている。2019年1~3月の米国への投資額は前年同期比7割減に落ち込み、欧州やオーストラリアなどでの減速も目立つ。中国当局の資本規制に加え、米国では米中貿易戦争も響く。世界各地でホテルや高級マンションを買い上げてきた中国マネーの退潮は、世界の不動産ブームの変調を物語る。

【上海=張勇祥】中国が米国債保有をじわりと絞っている。4月の保有額は1兆1130億ドル(約120兆円)と2カ月連続で減り、直近のピークだった2017年8月に比べ900億ドル近く減少した。一方、準備資産における金の保有量は6カ月連続で増えた。ドル脱却を一歩ずつ進め、貿易問題を巡り対立を深める米国をけん制する狙いもありそうだ。
中国の米国債保有額は長く1兆2千億ドル台で推移してきたが、15年夏の人民元切り下げを機に不安定になった。元を支えるため元買い・ドル売り介入を余儀なくされ、原資捻出のため米国債の売却に踏み切ったとみられる。
外貨準備は一時3兆ドルを割り込むまで減少したが、中国企業の海外M&A(合併・買収)抑制や資本規制を受けて下げ止まった。1兆1千億ドルを下回った米国債保有額も17年1月を底に増加に転じ、同年8月には1兆2千億ドルまで回復した。
その後の米国債保有減は対米摩擦の激化とほぼ軌を一にしている。中国の経常収支は黒字の減少傾向が続いており、米国債の「買い余力」は徐々に低下している。米国との関係が悪化するなかで、「無理に米国債に資金を振り向ける必要はない」(国都証券)と考えても不思議はない。
現実には米国債以外に大量の資金を預けられる投資先は見当たらず、保有額を大きく減らせば米国を過度に刺激しかねない。米長期金利の上昇は中国が保有する米国債で損失を抱えることも意味する。米国債売却というカードを切るのではなく、けん制として月あたり数十億~200億ドルの保有減を繰り返しているとの見方がある。
代わりに積み増しているのが金だ。18年12月に2年2カ月ぶりに増やして以降、19年5月まで6カ月連続で増加した。ロシアも外貨準備に占めるドル資産を大きく減らし、「無国籍通貨」でもある金に振り替えている。