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注目されるジャンク企業、レバレッジドロ-ンの行方

ブル-ムバ-グ
米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は、米経済の足元はしっかりしているが、過去10年にわたり同行がブックランナーで首位を守ってきたレバレッジドローン(相対的に信用力の低い借り手向けの融資)がトラブルスポットになりかねないとの見方を示した。
モイニハン氏は、景気拡大が続き、企業が利益を生む状況で、諸問題はまだ表面化していないと発言。BofAは「責任ある成長」を重視し、長年の貸し付け基準を守っていると繰り返し説明してきたが、レバレッジファイナンスが市場全体で問題になる恐れがあると同氏は指摘した。
同氏は「景気が減速し、企業が債務の重さに耐えられず、債務再編に動くことになれば、それらの企業にとって悲惨な結果になるだろう。そしてお決まりの大虐殺が起きる」と語った。
ブルームバーグの集計データによれば、BofAはレバレッジドローンのブックランナーとして10年連続で首位を維持した。ポール・ドノフリオ最高財務責任者(CFO)は今年1月の段階で、ローン担保証券 (CLO)へのエクスポージャーを同行が制限していると述べていた。

巨額の負債を抱えた企業のM&A(合併・買収)でしばしば活用されるレバレッジドローン、いわゆるシンジケーテッド・レバレッジド・ローン残高は2018年末には1兆2000億ドル(約134兆円)で、現在はそれ以上に達している。前回の金融バブル期2008年時点では6000億ドルに過ぎなかった。
レバレッジド・ローンは、シンジケート・ローン(協調融資)の中で借り手の信用格付けがBB以下で利回りが1.5%超の高利回りローンである。ハイイールド債との違いは、有担保、変動金利で、財務制限条項がついていること。
レバレッジド・ローンの9割近くは機関投資家、つまりはヘッジファンドなどのシャドーバンクが主な投資家となっている。規制が厳しい銀行に比較してシャドーバンクには規制がほとんどなく、そこに問題がある。

日銀では、どう観ているのか?
日本銀行は日銀レビュー「米国クレジット市場の最近の動向について(2019年3月)」を発表しました。
要旨としては以下の通りです。
「これまで借り手優位な資金調達が続いてきた。その結果として、低格付け企業の債務残高が増加し、クレジットの質の低下を示唆する動きがみられている。こうしたなか、先行き何らかのショックが生じ、企業の格下げやデフォルトが増加に転じる場合には、企業部門全体のバランスシート調整圧力が高まる可能性には留意する必要がある」という見解。
レバレッジドローンの人気が出た理由の一つは、米国の金利先高見通しでした。変動金利であれば金利上昇の利益を得られたからです。しかし、足元の米国の動向を見る限り、もはや金利上昇に期待できないことが想定され、さらに企業業績は悪化することが避けられません。レバレッジド・ローンがこの先、どのように化けるのかは誰にもわかりません。
リーマンショック時にはサブプライムローン証券化金融商品等が問題となりました。当時、FRB議長のバ-ナンキは、「サブプライムロ-ン残高自体、ロ-ン全体の中で僅かなものでしかないので問題ない」とタカをくくっていたものでした。
ところが、その僅かな腐ったサブプライムロ-ンが結果として銀行を次々破綻へと追い込み、世界金融恐慌まで発展しました。
今回のレバレッジドローンについては、FRB議長のパウエルさん他、多くの人が注意やリスクを警告しており、前回のようなベ-ルに包まれたようなサブプライムロ-ンとは少し違います。
しかし、今後において、腐ったレバレッジドロ-ンがどのような悪さをするかは誰にもわからない。ジャンク企業や信用度の低い銀行が潰れることは、いつの時代でも起きていることですが、問題は信用格付けが現在Aあたりの企業が今後BB以下のジャンク等級にどのくらい変わっていくのか?現在のプライムロ-ン(優良・正常ロ-ン)が業績悪化によってサブプライムロ-ン化していくのかに注目されています。
そして、ジャンク等級企業が次々破綻へと追い込まれていく過程で、どのようなサプライズネタが待ち受けているか誰にもわからないのです。
今さら言うことではありませんが、「借金」とは今後の「所得」の先取り。「消費」の先取り、「生産」の先取り、「利益」の先取りとも言えます。その先取りが永遠には続かない、それがバブル経済崩壊と言われる瞬間です。