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中国 ユーロ建て債の購入を増やす兆候

ロイター
銀行筋によると、中国は投資先を米国債から欧州などの政府系機関が発行する高格付け債に拡大させているもよう。ドル建て債で米国債よりも高い利回りが見込める代替投資先を模索している可能性がある。
公的部門債券の取引に携わる少なくとも4人の投資銀行関係者らは中国勢の政府系機関債への関心は高まっていると指摘する。特に、欧州投資銀行(EIB)、債務に連邦政府保証が付与されているドイツ復興金融公庫(KfW)、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が発行する債券に関心が向けられているという。
債券の購入者に関しては、地域や部門以外の情報が公表されていない。それでもなお、銀行関係者は最近のアジア勢の買いは中国が主導していると指摘する。
政府系機関のユーロ建てとドル建ての債券を販売するある銀行関係者は「EIBやAIIBなどのドル建て債に対して中国は一定の関心を示しており、アジア勢の購入比率が高いことにそれが表れている」と述べた。この結果、こういった政府系機関債と米国債との利回り差は縮小しているという。
引き受け幹事のデータによると、EIBが5月8日に発行した総額30億ドルの債券のうち、アジア勢の購入分は全体の51%を占めた。これは欧州・中東・アフリカ(EMEA)の35%、米州の14%を上回った。
EIBの2024年10月償還ドル建て債の対米5年債利回り差は縮小している。米国債利回りの最近の急低下にもかかわらずだ。
中国は中銀や政府系機関を通じて米国債1兆1200億ドルを保有する世界最大の米債保有国だ。ただ、米中貿易摩擦の激化を受けて保有する米国債を駆け引き材料にするとの憶測が市場ではある。3月に中国の米国債保有は2年ぶりの低水準に低下している。
これに対し、米債利回りの最近の低下を受けて中国が他の投資家と同様、代替投資先を模索しているとの見方もある。
また、昨年よりもユーロ建て債の購入を増やす兆候がみられるが、ユーロ圏に出回る最高格付けの「安全な」債券は数が限られているため、欧州の国債に多くの代替投資先を見いだすのは難しいかもしれない。
債券資本市場担当の銀行関係者は、中国勢は戦術的に米国債からドル建てのSSA債(国際機関債やソブリン債、政府系機関債など)にシフトしている可能性が高いと分析した。
米国は年内に3兆ドル余りの国債償還が控えており、2020年は1兆9000億ドル分の償還が待っている。このため、中国が徐々に投資先を分散すれば、米国には問題となるかもしれない。