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中国か米国か、ドイツの選択が決める世界覇権の行方

by 北野幸伯『ロシア政治経済ジャーナル』
2018年米中覇権戦争がはじまった。それでアメリカは、「ファーウェイを5Gから排除する」と決意しています。現在、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本などが排除する方針。
しかし、ドイツは揺れているのでしょうか。こんな情報が出ています。
【AFP=時事】中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)をめぐり、米国が欧州諸国に対して、同社を第5世代(5G)移動通信網構築への参入から排除するよう圧力を強めている。米欧州軍のカーティス・スカパロッティ(Curtis Scaparrotti)司令官は13日、ドイツがファーウェイの技術を採用した場合には、ドイツ軍との通信を断つ方針を示した。米国と欧州の同盟国は、中国政府と緊密な関係にあるファーウェイは安全保障上のリスクをもたらすと懸念し、5G通信網構築の入札からファーウェイを排除してきた。
「ドイツがファーウェイの技術を採用したら、ドイツ軍との通信を断つ」そうです。なぜ?
北大西洋条約機構NATO)軍最高司令官を兼務するスカパロッティ氏は13日の米下院軍事委員会で、ドイツを念頭に置いた欧州との貿易交渉に関する質問を受け、「特に5Gについて、周波数帯域幅の情報処理能力や性能は途方もないという点で、電気通信の根幹に関わる」と懸念を示し、防衛通信網内にそうした危険が存在する国とは通信しない考えだと述べた。
まあ、「ドイツがファーウェイを採用すれば、アメリカとの通信内容が中国に知られてしまう」ということでしょう。確かに困ります。しかし、NATO軍最高司令官が、わざわざドイツに言及している。つまり、「ドイツは迷っている」ということでしょう。
ドイツといえば、世界第4位の経済大国。しかし、エマニュエル・トッドさんのように「EUは、事実上のドイツ帝国だ!」という人もいる。つまり、ドイツは、EUを支配していると。そうなると、ドイツは、「巨大な力」をもっていることになります。
GDPでみると、アメリカは世界GDPの約24%、EUは約22%、中国は15%、日本は6%。というわけで、ドイツ(=EU?)は、世界で2番目のパワーをもっていることになる。
そんなドイツは、アメリカと問題が多いのです。まず、トランプさんは、メルケルさんが大嫌い。はじめて会ったとき、握手も拒否したぐらい嫌い。そして、政策面でもたくさん軋轢があります。たとえば、ドイツは、イラン核合意支持。アメリカは、離脱した。ドイツは、パリ協定支持。アメリカは、離脱した。トランプさんは、「NATO加盟国は、もっと軍事費増やせ!」と要求している。ドイツの軍事費は、GDP比で1.2%しかなく、トランプさんは「少なすぎだ!」と怒っている。トランプさんは、ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」プロジェクトに反対している。アメリカは、「欧州のロシア依存が高くなりすぎる」と主張している。しかし、ドイツは、「ただアメリカ産の液化天然ガスを売りたいだけなんじゃないの?」と反発している(もちろん、アメリカ産ガスの方が高い)。
ちなみにドイツがファーウェイを採用するかどうかは、とても重要です。なぜか?「EUドイツ帝国」でしょう?実際そうかどうかは別として、「ドイツは、EU内で最強」というのは間違いない。つまり、「ドイツがファーウェイをやめれば、他のEU諸国もやめる」可能性がグンと高まる。逆に「ドイツがファーウェイを採用すれば、他のEU諸国も採用する」可能性が高まる。そして、EUは世界GDPの22%を占めている。ここを中国が取るのか、それとも失うかは、米中覇権戦争の行方にも、大きな影響を与えることでしょう。