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設備投資の減少は本格的な景気後退入りのサイン

日本政策投資銀行 産業調査部

大企業(資本金10億円以上)の2018年度国内設備投資額は、全産業で21.6%の大幅増となる(7年連続の増加、製造業:27.2%増、非製造業:18.5%増)。
今回調査に基づく2018年度の国内設備投資の特徴
① 製造業は、自動車の電動化などのモデルチェンジ対応や、自動車向けを含む能力増強・省力化投資が広範な業種で増加する。
② 非製造業は、運輸、不動産で都市機能拡充に向けた投資、サービスなどでインバウンド対応の投資が続くほか、人手不足に対応した店舗、物流投資も増加する。
海外設備投資は、全産業で19.1%増と2年連続の増加になる。製造業(21.2%増)は、輸送用機械、電気機械、一般機械などほぼすべての業種で二桁の増加となる。非製造業(10.9%増)は、鉱業が引き続き減少となるが、不動産などの牽引で全体では増加に転じる。


■調査期間は2018年4月16日~30日、調査対象は全国2万3,118社で、有効回答企業数は9,924社(回答率42.9%)
設備投資の内容は、「設備の代替」(45.4%)がトップ(複数回答)。以下、「既存設備の維持・補修」(35.7%)、「省力化・合理化」(28.2%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(24.1%)、「情報化(IT化)関連」(23.8%)。更新需要に加え、人手不足に対する投資が上位に。

これは日本企業による設備投資状況を示しているが、今後の先行きを楽観しての設備投資拡大だが、米国による対中制裁、中国経済の失速は想定外でしょう。今でも、中国経済の失速は一時的と判断する企業もあるでしょうが、対中制裁が米国だけではなく、欧州にも拡がっている点で、対中向けの新規や増産の設備投資はおそらく投資資金の回収が思うように進まない、不健全資産となる可能性があります。
この過大な設備投資が、世界規模で観ると過剰債務を創り出した一因とも言えます。世界的債務バブルと騒がれる一因がこの過大設備投資であると言えます。
過大な設備投資だと多くの者が気づく時は、過去の経験則からはリセッション入り間近であり、もはや手遅れとなっていた。
設備投資の減少は、本格的な景気後退入りのサインと言えます。

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東洋経済オンライン

みずほ証券 シニアマーケットエコノミスト
一般に、設備投資の減少は輸出や生産が落ち込むよりも事態が深刻であることが多い。
それは、景気循環(設備投資循環)が「売上増→生産増→設備投資増→売上減少→生産減→設備投資減」というサイクルを経ることが一般的で、設備投資の減少は本格的な景気後退入りのサインであるとみられる。経済規模(GDP)対比の設備投資がピークを付けた後、景気後退局面入りした例は多い。
日本の場合、2018年7~9月期の名目設備投資の対名目GDP比は16.65%と、現行統計(1994年以降)で最高となった。過去最大の1997年10~12月期の16.45%を2期連続で上回った格好だ。すでに設備投資が過剰な状態で、7~9月期の減少をきっかけに、設備投資のGDP比が低下していく可能性もあるだろう。
日銀が発表した「2020 年東京オリンピックの経済効果」によれば 、「過去のオリンピック開催国のパターンを参考にすると、関連する建設投資は、2017~2018 年頃にかけて大きく増加したあと、2020 年頃にかけてピークアウトしていくと予想される」という。
貿易戦争の激化などによって世界経済の成長鈍化が一段と鮮明化すれば、日本経済は外需に続いて設備投資という経済成長のドライバーを失うだろう。8四半期ぶりの設備投資の減少は景気後退のサインである可能性が高い。

まぁ、設備投資循環のジュグラ-サイクルは、すでに設備投資が過大であるために2020年に向かって下降していくことを示しています。

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