fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

中国の貿易黒字拡大、本当?

法を犯してひそかに行う貿易を密貿易と呼ぶが、中国の貿易統計で輸出増、貿易収支黒字の裏には密輸入が関係している。

Business Journal
相馬勝/ジャーナリスト

中朝国境の町、中国遼寧省丹東。鴨緑江をはさんで、対岸は北朝鮮新義州だ。丹東だけで、中国の対北貿易全体の70%以上を占めるという中朝貿易の重要拠点となる。ついさきごろ、筆者は取材のために丹東を訪れた。
国連安全保障理事会がこれまでにないほど厳しい対北制裁を決議したが、制裁の対象ではない品目はフリーパスで中朝税関を通り抜けている。北朝鮮の貿易量の9割は中国が相手だけに、必然的に北朝鮮の外貨の獲得先は中国となる。
北朝鮮の輸出額の3分の1を占める石炭などの対中輸出が全面的に禁止されているのに、外貨を北朝鮮がどのようにして稼いだのか。
丹東の中国筋が明らかにしたところによると、「メイド・イン・チャイナ(中国製)」のマークが入った衣料品はほとんどが北朝鮮国内で製造されており、その輸出額だけで約30億ドルにも達しているという。これは、中朝間の貿易統計に表れない額で、ほとんど密貿易に近い。北朝鮮の正規の統計に表れる年間輸出額は約29億ドルだけに、同等の額をアンダーグランドの密貿易で稼いでいることになる。実は、丹東がその密貿易の最大の拠点なのである。
丹東は衣料品販売会社が集中しており、ここから日本やアメリカ、東南アジアや欧州など世界各国に大量の衣料品が輸出されている。ところが、丹東の衣料品販売会社は北朝鮮の会社に衣料品製造を丸投げしており、それに「メイドインチャイナ」のタグをつけて、世界中で販売しているという。
北朝鮮労働者の場合、中国人労働者の生産コストの4分の1で済むことから、丹東に拠点を置いている数十社のアパレル卸問屋は北朝鮮の会社に衣料品の製造を依頼しているという。


中国の巨額「衣料品」密貿易マネーは、北朝鮮経済を支える一方、中国の貿易統計の数値がいかに曖昧かつ信用できないものかを表していると言えます。
また、中国マフィアなど裏経済・裏社会市場の規模も大きく、実態の掌握はできませんが、政府統計には含まれない巨額取引が現在も横行しているようです。中国内に出回る人民元紙幣のうち2割がニセ札、それがよくわかります。