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米中貿易戦争激化で中国バブル経済崩壊論者が増えてきました

米中貿易摩擦の激化、中国の株安、人民元の対ドルでの下落、経済統計の不振など、中国経済の先行き不透明感が強まるなか、中国バブル経済の崩壊を語る人も増えてきました。
想い起こせば、2008年からの金融危機も、ローン残高から観れば僅かなサブプライムロ-ンという、ちっぽけな要因が世界の金融機能をマヒさせるような事態にまで発展しました。その過程では、マスコミが騒げば騒ぐほど危機をあおるような結果につながっていきました。
果たして、人類誕生以来、最大のバブル経済を膨らませてきた中国も、マスコミの餌食となるのかどうか。
ただ、米国による中国潰しも、トランプ政権に残された時間は少ない。トランプの任期中で中国を潰せるのかどうか。

The Epoch News

中国人民銀行は6月、市中銀行の預金準備率を0.5%引き下げると発表した。今年3回目の預金準備率引き下げ。中国国内の経済専門家は、ミンスキー・モーメントがすでに到来したとの認識を示した。
引き下げの対象となったのは大手国有銀行、株式制商業銀行、都市や農村の商業銀行、外資銀行など。7月5日から実施する。大手銀行の預金準備率が15.5%、中小銀行が13.5%になる。これによって、約7000億元(約11兆6900億円)の資金が市場に供給されることになる。当局は、企業の債務株式化や中小企業への融資拡大を目的とした。実質上の景気テコ入れ策だとみられる。
中国当局の狙いとは裏腹に、中国経済に対する国内企業や投資家の不安が続いている。株価相場の低迷に続き、人民元も対ドルで下落している。
さらに、中国経済は減速の兆しを示した。工業生産の伸びは鈍化し、小売売上高と固定資産投資も振るわなかった。「中国企業にとって先行き不透明感が強まっている」とブルームバーグは指摘した。
中国国内の経済学者の賀江兵氏はこのほど、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)で『中国は対象限定の預金準備率引き下げで、ミンスキー・モーメントを食い止めようとしている』との評論記事を発表した。記事冒頭で「ミンスキーモーメントがやってきた。(株安・元安という)市場の激しい反応から見れば、中国経済バブル崩壊はすでに始まった」と述べた。
同氏はこれは「決して大げさな言い方ではない」とし、債務増加、不動産バブルと人民元の過剰供給が中国経済の抱える「三つの時限爆弾」だと分析した。
人民銀が発表した資産負債表によると、2016年12月まで、中国国内の家計・金融企業・非金融企業などを合わせた債務規模は244兆元(約4075兆円)。中国が抱える国債規模は10兆元(約167兆円)。一方、中国国家統計局の統計では、16年の国内総生産GDP)は75兆元にとどまった。債務の対GDP比率約350%で、非常に危険な状況にあることは明かだ。
賀氏は、中国不動産市場は依然として経済の安定を脅かしていると指摘した。「北京の不動産価格の下落はすでに始まった」
中国国有銀行大手、中国建設銀行の田国立・会長は今月中旬、上海市で開催された金融フォーラムにおいて、中国不動産市場の総資産規模は40兆ドル(約4400兆円)以上、または400兆元(約6652兆円)以上と「天文的な数字」にまで膨れ上がったと発言した。田氏は「中国の莫大な富が不動産に投じられている」との現状に危機感をあらわにした。
一方、当局による通貨供給量の急増も不安材料だ。人民銀の統計では、今年3月広義マネーサプライ(M2)が174兆元(約2906兆円)に達したと示された。「この数値は、ドルやユーロの供給量の合計よりも多い」と賀氏が警告した。インフレ圧力の上昇、資産価格の高騰、資金流出など、さまざまな問題が生じる。
「しかし、指導部はこの現状にどう対処すべきか、まったく打つ手がないようだ」


中国国内金融学者の賀江兵氏はこのほど、米国にある中国語メディア「新唐人テレビ」の取材で、米中貿易戦を今後2カ月以内に解決しなければ、中国経済が「崩壊モード」に突入するとあらためて警告した。
賀氏はかつて、中国メディア「華夏時報」金融部の主任を務めていた。現在相次ぐ破綻する個人間で投資を仲介する融通事業、「P2P(ピア・ツー・ピア)金融」サイトのリスクについて、4年前にすでに警告していた。中国で近年、その発言が注目されている。
米中貿易戦の激化で中国株式市場が低迷し、対ドルでの人民元相場が急落した。賀江兵氏は、2カ月後に控える米国の中間選挙後、中国経済が崩壊モードに進むとみている。「与野両党のどちらが勝っても、トランプ政権が引き続き対中貿易制裁を進めていく」
民主党が勝つ場合、党内の親中派がトランプ政権の対中政策にブレーキをかけるよう、中国は働きかけるとみられる。しかし、対中問題において、与野党は歩調を合わせている。同氏は「民主党も中国に対して警戒感を強めている。米国では、今や親中派議員には票が集まらない」と指摘する。
「選挙後、貿易戦による票への影響などの懸念材料がなくなる。トランプ氏は中国にこれまで以上の圧力をかけていくだろう」と中国がこの2カ月の間に貿易摩擦を解決する必要があると述べた。
今年6月、賀江兵氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)を通じて、中国経済ミンスキー・モーメントを警告する評論を発表した。同氏は「ミンスキーモーメントがやってきた。(株安・元安という)市場の激しい反応から見れば、中国経済バブル崩壊はすでに始まった」と警鐘を鳴らした。
賀氏は、2カ月以内に貿易戦の打開策がなく、米政府がより強力な制裁措置を行えば、中国経済のバブルが崩壊モードに突入するとの見解を示した。
米政府は7月と今月23日に、合計500億ドル相当の中国輸入品に対して追加関税を課した。「この影響で、バブルがほとんど見られない中国株式市場まで下落した。貿易戦が続くと、深刻な住宅バブル、債務問題、人民元の過剰供給による金融バブルが次々と崩壊する」
賀氏は、中間選挙後、米政府による対中貿易制裁の強化で、中国国内のインフレ圧力が一段と強まると懸念する。同氏は、インフレ圧力が「中国経済が崩壊モードに進む」要因の1つだとした。
世界最大の食糧輸入国である中国では、大豆価格が急騰すれば、家畜の飼料価格や大豆関連製品の値上がりを招く。他の輸入農産品、燃料についても同じだ。
インフレの対策は、中央銀行による利上げ実施だ。賀氏によると、景気鈍化が進む中国で利上げを実施すると、すでに高い法人税に頭を抱える企業は次々と経営破綻に追い込まれ、実体経済は現状より一層冷え込む。一方で、「当局は、企業を救済する資金力がないうえ、膨大な地方政府の債務を抱えている」という。
賀氏は取材中、自身について「中国経済崩壊論を主張する者ではなかった」とし、過去2年間中国経済の実態を考察して「悲観的になった」と述べた。