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日銀ジレンマ、円安株高失うリスク

[東京 23日 ロイター] - 日銀が金融政策を見直す可能性が浮上している。副作用を減らし持続可能性を高める方向とされるが、副作用を完全に消そうとすれば、円安・株高といった「作用」まで失いかねないジレンマが今の政策にはある。
<やめられないETF買い>
見直しの対象になるとみられている政策の一つが、日銀によるETF(上場投資信託)買いだ。225銘柄に購入対象が限られる日経平均ETFを採用していることで、一部の銘柄が「品薄株」になっているとの批判が出ている。
日銀のETF買いが続く限り、市場の浮動株が少なくなっていくことには変わりはない。副作用を完全になくそうと思えば、世界でも異例である中央銀行による株式購入をやめる必要があるが、やめれば株価へのマイナスインパクトは相当に大きい。今の日本株の買い筆頭は日銀だ。
金利上昇は両刃の剣>
23日の市場では、銀行株が軒並み上昇するなど、長期金利目標の引き上げに対する思惑も強まった。現在ゼロ%となっている目標を引き上げ、金融機関の利ザヤを改善させて副作用を緩和させるのではないかという期待だ。
しかし、わずかな金利上昇では金融機関の収益が劇的に改善するのは難しい。10年ゾーンの金利が0.2%に上がったとしても、単純計算で年間のインカムゲインは1兆円投資して20億円、5兆円でも100億円だ。
また、厳しい貸出競争や企業の資金過剰という環境の中では、長期金利の引き上げは貸出金利の上昇にも結び付きにくい。23日のユーロ円東京銀行間取引金利(TIBOR)は、ほぼ変わらずだった。
とはいえ、副作用をなくすために利ザヤを大きく改善させるのも難しい。円高・株安リスクが高まることに加え、輸入物価下落を通じてデフレ圧力も増す。景気にも圧迫要因だ。国の利払い費も膨らむ。日本経済にとって金利上昇は、両刃の剣だ。
<盛り上がり乏しい市場>
23日の東京市場は、週末の日銀観測報道を受けて動いたが、あくまで現行の金融政策がもたらす副作用を修正する程度の動きにとどまった。
市場に盛り上がりは乏しい。東証1部売買代金は約2.1兆円と薄商い。日銀政策調整の可能性も「ネタがない一部の投資家だけが、材料に使っている程度」(外資系証券)という。
ドル/円も一時111円を割り込み2週間ぶり安値を付けたものの、トランプ米大統領によるドル高けん制発言の影響が大きいとみられている。
円高/株安がさほど進まないのは日銀にとって朗報ではあるが、裏を返せば「それほど大胆な政策見直しはできない」(クレディ・スイス証券・株式本部長)と市場がみている証左でもある。
政策の微調整によって持続可能性を高めたとしても、需給的な思惑だけが高まるだけで、物価や経済に対する市場の見方はほぼ変わらない。市場を覆う空虚なムードも、また残ることになりそうだ。