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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

トランプショック 「貿易戦争」「通貨戦争」「武力戦争」

これまで米大統領トランプが掲げた大型減税やインフラ投資の政策期待により、リスクオンの株高やドル高円安相場を誘った。しかし、トランプが選挙中に主張してきた保護主義的な経済政策のことは、最近までまったく無頓着だった。それが現在、「貿易戦争」という表現で世間を賑わせています。
今この「貿易戦争」と騒がしいのは、あくまで米国の輸入に関することだけです。それも、中国を主としたピンポイント的な狙い撃ちです。しかし、貿易のもう一面である輸出のことは、まだ大きく騒いでいませんよね。この輸出に関しては、世界各国を狙い撃ちにした「ドル安」を志向する次なるカ-ドは用意されています。著名投資家、市場関係者の中には、トランプの口からこのドル安への是正発言がいつ飛び出してもおかしくはないと観ている人もいるようですが、それでも相場への織り込みは時期尚早と、トランプあるいは財務長官からの実際の発言待ちのようです。これはfxdondon的に言えば、いよいよ「通貨戦争」の勃発です。

ブル-ムバ-グの記事で、
三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチのチーフアナリスト
トランプ大統領がいよいよ関税だけでなくドルも高いと言い出したときには、ドル安円高はもう止まらない」。
みずほ銀行のチーフマーケットエコノミスト
実質実効ベースでみても円は長期平均に対して2割ほど安いため、購買力平価からみて95円程度までドル安円高が進んでも「驚かない」。「為替は予想が難しいが、一つだけ確実なことは米国が思っていることは必ずかなうということ。通貨安にするんだという競争となったときに、基軸通貨のドルに勝てる通貨はない」。

このようなコメントを目にしました。まぁ、順当な観方だと思います。
しかし、このような「通貨戦争」の勃発は、居心地のいい適度な水準でドル安が進むなんて甘いものにはなりませんから要注意、いや厳戒態勢でいなければならないでしょう。トランプの口から為替発言(現在のドル高の言及)が飛び出すと、瞬間的にかなり円高方向に値が飛ぶので、fxで円売りポジション(円売りトレ-ダ-)の方々は地獄を見そうです。
ついでに、fxdondon的には、上記2つの「貿易戦争」「通貨戦争」の他に、「武力戦争」というリアルな衝突も想定していることに触れてみます。これは、実際に起きないことを祈るばかりですが・・・。
まずは、トランプ政権が、2018年の1月下旬に公表した「国防戦略 2018(NDS-2018)」を読んでみて下さい。「そんなの知らないよ」では困りますので、時間のある時にでもネットで簡単に調べてみて下さい。
それを要約すれば、米国が最も重視しなければならないのは今までのような『対テロ戦争』ではなく、これからは『大国間角逐(かくちく:互いに争うこと)』である。戦略の基本方針は、大国間角逐(軍事大国の間における強度な競合)で打ち勝つことによって米国の国益を維持するとのことで、米国にとっての大国間角逐とはずばり中国の軍事力やロシアの軍事力となります。

ここまで、トランプという男は、選挙公約を次々実行してきました。当初はビッグマウスのホラ吹きかと思っていましたが、ここまで口にしたことはすべて行動に移してきました。実業家ですから、Win-Loseにこだわり、絶対にWinでなくては気がおさまらないでしょうし。
もちろん、トランプの選挙公約に「中国、ロシアをぶっ潰す!」なんてことはありませんから、直接的な武力衝突の可能性はないでしょう。しかし、代理戦争(中国による南シナ海侵攻でベトナムとかフィリピンの肩代わりとか後押し等)の可能性はあります。もし、そのような戦争が起きる時、トランプならこう言うのかも知れません。「こっちからケンカは売らないが、売られたケンカは喜んで買う。そして、必ず勝つ。必ずだ!」と。