fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

強気相場の終焉

米国の主要3株価指数は、2月19日に史上最高値を記録した。それからわずか13取引日後には、史上最高値からS&P総合500指数は約19%、ダウ平均株価は18.7%、ナスダック総合指数は19.2%と大幅な下げ幅を記録した。10日には一時上昇したが、11日に再び大幅反落、史上最も短期間で強気相場から弱気相場に後退した。株価がいったん20%下落すると、その水準を維持することが難しくなり下落傾向に働く、というのが過去の経験則。
S&P総合500指数が最高値から20%下落するまで要した期間は、1929年の世界大恐慌には42日間、1987年のブラックマンデーには55日間、1990年には87日間かかったのに対し、今回は最短の15日間であった。それほど急速に強気相場から弱気相場に転換したことになる。
米国では1946年以降、弱気相場への後退が起きたのは12回。弱気相場は平均14.5カ月続き、高値から底値までの下落率は最大で57%、平均32.5%であった。直近では、2007年10月から2009年3月まで続いた景気後退・弱気相場では下落率は57%で、回復まで4年を要した。
11年間続いた史上最長の強気相場でダウ平均株価の時価総額は約20兆ドル押し上げ、史上最大のバブル市場となった。今回の強気相場は、連邦準備制度理事会FRB)の金融緩和政策による相場上昇として語られる。2008年のリーマンショックを機に始めた量的緩和政策、金利の引き下げ、短期資金調達市場への資金供給など投資家を守ってきた。
しかし、今回の株価急落は、FRBが従来型の金融政策では新型コロナウイルスが引き起こす可能性が高い供給問題だけでなく、需給問題で市場や経済の動向を変える、世界的なリセッションを阻止することが困難であると市場が受け止めたことになる。コロナウィルス退治に、金融政策は効かないという当然の結果である。
世界の成長に欠かせなかったアジア新興国などでも、FRBやECBなどの金融緩和が供給した多額のマネーで借り入れを増やし、インフラ整備や生産設備増強、雇用創出で景気を維持してきた。しかし、新興経済国の株価で構成するMSCI新興市場指数がピークから20%を記録し、こちらも弱気相場入りした。
過去最長の景気拡大に最後のとどめを刺すのが、株式の弱気相場入りということになろうか。