fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

米株パーティーは無事に終わらない

My Big Apple NY
バロンズ誌 アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート

Fedがパンチボウルにカクテルを追加投入、パーティーは無事に終わらないリスクも―The Fed Is Spiking the Punch Bowl. It May Not End Pretty.

足元で、米株相場はパーティーの真っただ中にあるようだ。パウエルFRB議長が議会証言で次回7月30~31日開催の米連邦公開市場委員会FOMC)で利下げの可能性を点灯させると、ダウは2万7,000ドルの壁を超え、S&P500種株価指数も3,000の大台を突破した。パウエル氏によれば、利下げは世界景気の減速という不確実性を相殺するといい、米株相場を押し上げた。
過去のFRB議長はそれほど金融政策に厳格ではなかった。例えば、1920年代に実質のFRB議長の役割を果たしたNY連銀総裁のベンジャミン・ストロング氏は、ポンド危機が発生していた1927年に国際間の緊張を緩和する目的で、「米株相場に一杯のウィスキーを」提供する用意があると発言、大規模オペの実施と公定歩合の引き下げに踏み切った。それにより米株高が加速し、1929年の世界恐慌に至ったことは周知の通りである。
1998年には、当時のFRB議長だったアラン・グリーンスパン氏がロシア債務危機LTCM問題を背景に利下げを断行。マエストロは、バロンズ誌による様子見すべきとの主張を無視したわけだ。その後、2000年にITバブルが崩壊を迎えることになる。
シティグループのチャック・プリンスCEOは2007年、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで「音楽が奏で続けられている限り、踊り続けなければならない」と語った。今回、デジャブを迎えるのだろうか?アライアンスバーンスティーンで首席エコノミストを務めたジョー・カーソン氏は、Fedがこれまで米経済がほぼ予想通り推移し、金融市場が活況である時に利下げで対応したことはないと語る。
米経済の成長率は、1~3月期と4~6月期のアトランタ地区連銀の予測値を基に試算すると、上半期に2.3%増になると考えられる。失業率は約50年ぶりの低水準に近い3.7%だ。パウエル氏は利下げを必要とする主因に低インフレを挙げるが、コアPCEは同氏の試算では2.1%である。
FF先物市場は、7月30~31日開催の次回FOMCで25bpの利下げを100%織り込んでいる。9月17~18日開催のFOMCでは25bpの利下げを72%、12月10~11日開催のFOMCでは25bpの利下げを54.9%織り込む状況だ。
利下げ予想が広がるなかで、米債市場はスティープ化で反応しており、長期債が売られ、米30年債の入札は閑古鳥が鳴く有様だ。ドルは下落トレンドをたどり、金先物は52週高値近くで推移する。
Fedが利下げに転換しないにも関わらず、銀行は既に預金金利を引き下げ始めている。キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズのアナリスト、コリン・ギルバート氏によれば、わずかながら銀行は預金金利を引き下げており「銀行による金利支払いコストを抑え、純金利マージンの改善につながっている」という。銀行にとってはポジティブ材料だが、預金者にとっては好ましくない。
流動性が潤沢となる兆候が表れるが、コーナーストーン・マクロは弱い経済指標は古い材料と化してきたと語る。経済指標の鈍さと対照的に、Baa格の社債利回りが低下しているためで、市場が利下げ効果を重視し始めている証左だ。
1990年代のように、市場はパーティーを楽しむ用意を整えつつある。しかし、どのような結末を迎えたか、留意しておいた方がよいだろう。


「米株相場はパーティーの真っただ中」、正にその通り。
「どのような結末を迎えたか」? そりゃ、前回の世界金融危機ではアルコール中毒により死んだ銀行が続出しました。パーティーの後片付けは、政府やFRBが一生懸命やりました。
で、今回のパーティーの結末も、結局は同じことの繰り返しでしょう。今回のパーティーの主賓はトランプ大統領。ある意味、政府が後片付けするのは当然とも言えますがね。