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まだまだ沈むドイツ製造業

ドイツ 製造業新規受注 (前月比)
結果 ▼0.6% 予想 ▼0.3% 前回 ▼2.1%

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ロイター
ドイツ経済省が発表した8月の鉱工業受注指数は、前月比0.6%低下と、ロイターがまとめたコンセンサス予想(0.3%低下)よりも大幅なマイナスとなった。内需の低迷が背景。
製造業の不振がドイツ経済をリセッション(景気後退)に追い込んでいるとの兆候が新たに示された。
資本財の受注は1.6%のマイナスとなった。
VPバンク・グループのエコノミストは「ドイツ経済はリセッションの真っただ中にある。きょうの指標でそれが再び明らかになった」と指摘。「ドイツ政府に厳格な予算政策を撤回するよう圧力が高まるだろう」と述べた。

 

光明なきドイツ経済。
ドイツ大手企業は、相次ぎ人員削減を打ち出しています。

●ドイツの大手自動車メーカー「フォルクスワーゲン」は、2023年までに5000名~7000名規模の人員削減を実施すると発表しました。対象となるのはドイツ国内の従業員で、削減は退職者の補充をしないなどの自然減で行う方針です。
●ドイツの大手自動車部品メーカー「コンチネンタル」は、世界の全従業員24万4000名の約8%の相当する2万名の人員削減を発表しました。今後10年間におよぶ経営計画の一環として実施するもので、そのうちの7000名はドイツ国内での削減になる予定です。また、ドイツの3工場と米国の2工場、それにイタリアとマレーシアの合計7工場を閉鎖する。
●ドイツのコメルツ銀行のツィールケ最高経営責任者(CEO)は、銀行が「計り知れない」試練に直面しているとし、ドイツ銀行との統合話が破談となったことを受け、数千人規模の人員削減を実施し、5分の1の店舗を閉鎖する。

製造業は自動車に限らず、BASFなど化学工業も苦境に陥っているとのこと。

化学工業日報
欧州の化学企業が業績の悪化に苦しんでいる。2019年第2四半期(4~6月期)は、多くの企業が減収減益になった。18年下期から業績の減退期に入った各社にとって、一段と困難な環境に直面している。
7月25日に業績発表したBASFのマーティン・ブルーダーミュラー会長は「現在は非常に不確実な要素が多く、見通しも悪いため予測が立てられない。それが第2四半期の業績にはっきりと反映されている」と厳しい状況を表した。売上高は前年同期比4%減の151億5800万ユーロにとどまり、EBITDA(金利・税・減価償却費計上前利益)は同39%減の16億2600万ユーロに落ち込んでいる。
事業分野では、ウレタン原料やエンジニアリングプラスチックの不振が目立った。イソシアネートやポリアミドなどで構成されるマテリアル事業の売上高は同16%、特別項目控除前のEBITDAは同45%、それぞれ減っている。
コベストロも、ウレタン原料とエンプラの不振の影響を受けた。ポリウレタン事業は販売量が0・7%増えたものの、売上高が同24・3%、EBITDAが同70・5%減少。ポリカーボネート事業も販売量が4・4%増えたにもかかわらず、売上高が15%、EBITDAが46%前年同期を下回った。いずれも市況低迷が背景になった。
 製品の仕向け先では自動車の減退が目立っている。年初予想に反し、19年上期の世界の生産は6%減った-とBASFが指摘したように、自動車産業が各社業績に影響を与えた。エンプラの不振は、その一つ。アルケマは、ポリアミドや接着剤などで構成されるハイパフォーマンスマテリアルズ事業の販売量が8%減少。ランクセスは、エンジニアリングマテリアルズおよびスペシャリティアディティブス部門の販売量が減少。ともに収益の悪化の理由になった。
ネガティブな数字が目立つが「われわれは困難な状況でも、戦略的な成長イニシアチブを迅速かつ徹底的に、そして厳密に実行していく」(BASF)、「世界的な政治経済の不確実性が解消されないため、経済状況はいぜんとして厳しい。それにもかかわらず第2四半期は利益目標を達成し、主要製品の販売量をさらに増加できた」(コベストロ)と話している。
わずか2年前の17年第2四半期は、各社とも好業績を謳歌していた。組織改革や合理化の徹底など、事業環境が一転した状況に対応した取り組みも続く。着実な戦略の遂行とともに、地に足を着けた施策の具体化が不可欠になっている。