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英国のインフレ

CMEグループ
Erik Norland CMEグループのエグゼクティブディレクター兼シニアエコノミスト

ブレグジットの最終的な結果について依然として確信が持てないことから、英ポンドは、ドルとユーロに対して2016~17年の安値を再び試す展開となっている。英国が合意なしで欧州連合EU)から離脱すれば、ポンドはさらに大きく下落する余地があろう。対して、英国が合意ありで離脱すれば、ポンドは急騰する可能性があろう。
我々のモデルによれば、ポンドの上昇の動きをみせてから約3、4カ月後以降に国のインフレ率は2%近辺に低下する可能性があろう。インフレ率はゼロに向かう可能性もある。対して、英国が合意なしで離脱すれば、合意なき離脱の結果を市場が織り込んでからさらに10%下落することは容易に想像できる。その場合には、インフレ率は現在の1.9%の上昇ペースから3%に向かいかねない。良いニュースはいずれの場合でも、インフレへの影響は一時的なものにとどまる見込みであり、約1年間の間に影響が出現し、物価の上昇は、ポンドの下落の動きが生じてから当初3カ月間ぐらいは目立たないとみられる。

要旨
ブレグジットの結果は、英国のインフレ率に影響を及ぼす可能性は高い。
●合意なき離脱ともなれば、ポンドは10%以上下落しかねない。
●合意あり離脱か、またはブレグジットの撤回となればポンドは15%を超える上昇を示す可能性があろう。
●貿易加重平均ベースでポンドが10%上下に変動すれば、インフレ率は1%ほど低下/上昇する可能性があろう。
●物価は、ポンドの変動に約4カ月遅れで反応する。

 

インフレは、通貨価値減価と物品サービス価値増価のことを言うが、ここでは英国の物価に焦点をあてる。

英国の総合インフレ率の推移

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コアインフレ率の推移

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食糧インフレ率(FPI)の推移

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英国でインフレ高進の兆候はなく、インフレ圧力は食料品価格の高止まりにようるものと考察できる。

英国を含め、欧州ではこの夏も熱波に襲われた。生鮮食料品の価格高騰による影響が大きいでしょう。それでも、2%には届かない。

おそらく、暑さもおさまり、食料品価格も下落に転じると思われ、インフレをけん引した食糧インフレ(FPI)も沈静化するでしょう。

インフレ目標の2%には到底届かず、景気減速も加わって、利下げ観測が強まる可能性がある。