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英国 ポンド急落ありきで「合意ある離脱」へ?

ロイター
メイ英首相の欧州連合(EU)離脱素案に反対する英議員に再考を促したいなら、最高の妙薬は金融市場が暴落することだ。ポンドや株価がどの程度下落すれば、英議会が素案を拒否して合意なき離脱(ハード・ブレグジット)に突き進むのを回避できるだろうか。
議会は12月半ばに離脱案の採決を行う見通し。離脱案への反対は与野党を問わず強く、否決されればハード・ブレグジットが現実味を増す。投資家はポンドの下落やボラティリティー(相場の変動率)の上昇から身を守るため、オプション取引などで備え始めている。
ただ今のところ、金融市場が暴落して離脱素案に反対する議員を転向させる兆しは見えない。
つまり投資家は依然、合意に基づく円滑な離脱の可能性が最も高いと考えているようだ。
スミス・アンド・ウィリアムソンの債券ディレクター、ロビン・マーシャル氏は「政治家を真剣にさせるには、資産価格がもっと大幅に下落する必要がある」とし、ポンドと株価が5─7%急落すれば政治家も腰を上げると予想した。
12月の採決でメイ氏の離脱案が否決された場合、市場が暴落して議員らはすぐに転向し、小幅な修正を加えた離脱案が再投票で可決される──。ブラックロックポートフォリオマネジャー、ルパート・ハリソン氏は、こうしたシナリオを「TARP」モデルと名付けた。
TARPとは2008年の世界金融危機時に米政府が打ち出した銀行救済策「不良資産救済プログラム」の略称。当時、米下院がTARPを否決すると米国株は10%近く暴落し、4日後に下院が方向転換した経緯がある。
こうした事例には事欠かない。


なるほどねぇ。
まずは、ポンド暴落ありきで「合意ある離脱」になびくというシナリオ。
まぁ、怖気づく政治家もいるでしょうしね。
ただ、妥協を許さない、信念を貫く政治家もいることでしょう。
ブラックロックポートフォリオマネジャーが予想する一度のポンド急落でいったんポンドは持ち直すか、その筋の期待を裏切るハ-ドブレグジット突入となる二度目のポンド急落があるかは、いまだ不透明です。
 
ただ、「合意ある離脱」でも、EUからの離脱は離脱。その事実には変わりがない。今後のEUの政策の話し合いなどで、英国の不利益になるような事項については、もうまったく考慮する必要がなくなる。
金融サービスセクターにおける英EU離脱後の関係についても、英国の離脱後、英国の金融サービスは低下する。
EU域内顧客へは「同等性」制度に基づき、EU市場へのアクセスが与えられる。EU域内であらゆる金融事業が認められる「パスポート制度」ではなく、同等性制度では融資など基本的な銀行業務や幅広い保険業務が含まれず、活動が制限される。
大局的には、金融中枢がロンドンから離れ始めています。今はまだ欧州本土へ分散しているという表現が妥当かも知れぬが、EU離脱でロンドンが以前の賑わいを取り戻すことはできないでしょう。