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中国製造業、最大リスク直面

ブルームバーグ・エコノミクスは経済協力開発機構OECD)の2015年のデータを利用し、どの国や地域が米中貿易フローに関連する最も大きいリスクにさらされているか、また各国・地域内ではどの産業が最大のリスクに直面しているかを分析した。
世界の経済活動の約1%が米中間の財・サービス貿易に関連するリスクにさらされる。関税引き上げが実施された場合、製造業者の利益が圧迫されるほか、消費者の負担が増加する。この結果、需要が落ち込み、世界のサプライチェーン(部品などの供給網)で広範囲にわたって混乱が生じる可能性が高い。
中国の全生産の3.8%相当が米国に輸出されている。最大のリスクにさらされているのは中国製造業だ。15年に中国の製造業が生産した全ての製品の6.7%相当が米国に輸出された。分野別の割合で高いのはコンピューター・電子機器・電気機器の12%、繊維業界の13%などだ。
OECDが公表した付加価値貿易指標(TiVA)によると、15年の中国から米国への財・サービスの輸出額は4890億ドルで、このうちコンピューター、電子機器、電気機器などの製造が4430億ドルを占めた。
中国製造業に対する打撃は中国企業向けサプライチェーンに関与する海外企業、特にアジアの電子機器業界全体に拡大すると見込まれる。中国が米国に製品を輸出するルートにおいては、さまざまな他国の企業が生産工程に関与しており、他国による付加価値が多く内包されている。
15年の中国の対米輸出を付加価値ベースでみると、82%が中国内で創出された付加価値だが、残りの18%は他国で生産された原材料などによるものだ。中国で創出された付加価値の半分は製造業、3分の1は輸送や流通などのサービス、残りは農業や鉱業など1次産品の生産となっている。
他国からの付加価値の主な創出源は、韓国、台湾、日本などのアジア地域となっている。中国の対米輸出に関連する電子機器生産の割合は台湾が5.8%、韓国が4.4%、フィリピンが4.2%を占める。アジアなどの一部の国々では、経済活動全体に占める中国の対米輸出への依存度が高く、特に大きな打撃を受けるとみられる。

中国経済指標のおさらい
中国企業景況感
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中国製造業PMI
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中国製造業新規受注
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中国自動車生産
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中国消費者信用残高
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気になるのが、この個人による借金依存。上記グラフの金額には、シャド-バンク、闇金融からの借金は含まれていません。
「あれっ、中国の貯蓄率って高いと前の記事であったけど?」と思われるかも知れませんが、中国での個人に関するデ-タは「都市部」のデータのみを集めたものです。中国では大富豪、資産家が増えたようですが、この人たちはすべて都市部に集中してます。また、中国の失業率統計も、都市部のデ-タを集めたものに過ぎません。
中国は誇らしげに何かを語りたい時には都市部のデ-タを利用します。逆に、中国はまだ途上国なんだと弱い面を見せたい時には地方部・僻地のデ-タも含めたものを利用します。
ですから、中国から発表されるデ-タは信用できるものではありません。今、目にしている姿が「事実」なんだという捉え方がいいのでしょう。
さて、中国の家計債務の対国内総生産GDP)比と対可処分所得比が急上昇している。
中国メディア「捜狐網」の記事によると、1996年に中国の家計債務の対GDP比は3%未満であったが、2008年には18%、2017年上半期には47.5%までに急騰した。
記事は、国内の住宅公積金(公的積立基金)ローンやインターネット上個人間金融、P2P金融などを計上すれば、家計債務の対GDP比は、2017年上半期にすでに53%を超えていたと指摘した。中国の家計債務の対GDP比は、この10年間で、類を見ないスピードで約20%から50%まで急騰した。「20%から50%の水準まで、米国が40年間かかったのに、中国はわずか10年間で到達した」と、その異常ぶりを伝えている。
一方、中国の銀行が行った統計では、各家庭の負債状況を示す家計債務の対可処分所得比は、2006年の18.3%から2017年の78.1%まで急拡大したと示された。しかし、他の種類の借金などを考えると、実際の家計債務対可処分所得比は「78.1%をはるかに上回る」という。
上海財経大学高等研究院が昨年8月に発表した調査報告書によれば、中国家計債務の対可処分所得比は2017年に107.2%に達した。
中国メディア「中国新聞網」の報道によると、中央財経大学金融学院の郭田勇教授は、「高すぎる住宅価格」が、家計債務の対GDP比が急上昇した主因だとの見方を示した。
つまり、住宅ロ-ンを莫大に抱えた家計が多いということ。
この中国国民の負債急増、雇用悪化、企業収益悪化による給与収入源などで、今後の個人消費の低迷、さらなる景気悪化と転ぶ悪循環が予想される。つまり、負のスパイラルである。
すでに、自動車では新車の購入を手控える動きが顕著となってきている。何より、こういう状況ではさらなる少子化を招くもの。中国の歪な人口動態は、より乱れたものとなるでしょう。