fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

崩れそうで崩れない中国経済

ダイヤモンドオンライン
リーマンショック後、中国政府はインフラ投資などによって、成長を人為的にかさ上げしてきた。その結果、中国国内では投資案件はほぼ飽和状態になっている。そのため、高い期待収益率が見込める投資案件が見当たらなくなりつつある。
また、中国経済は“中進国(中所得国)の罠”に陥りつつある。2018年中国の1人当たり名目GDP(所得)は、9600ドル程度に達した。中国は、他の新興国からの追い上げに対応しつつ、技術面を中心に先進国にキャッチアップしなければならない。債務問題への懸念が高まり、成長率が徐々に低下する中、中国が1人当たりGDPを増やすことは口で言うほど容易なことではない。
景気減速を食い止めようと、昨秋以降、中国政府はインフラ投資や減税などによって経済を上向かせようと躍起だ。状況によって、中国政府はさらに景気刺激策を積み増すだろう。短期的に、景気刺激策が中国経済を上向かせることは可能だろうが、投資効率が低下する中での財政支出の拡大は、潜在的不良債権リスクを高める。
固定資産投資の推移を見ると、いかに中国の投資が急速に肥大化したかがわかる。2007年の固定資産投資額は約12兆元(180兆円)だった。2018年の投資額は63兆元(1000兆円)超にまで膨張した。その他、インフラ投資などの公共工事などを含めると、膨大な資金が投資に回された。
中国経済成長の限界に直面している。投資効率の低下、個人消費の伸び悩みに加え、輸出を増加させることも難しい。米中貿易戦争の影響に加え、効率性が低下する中で投資が累積され、中国の生産能力は過剰だ。裏返せば、世界経済全体で需要が低迷している。
長期的に中国経済は一段と厳しい状況を迎える恐れがある。リーマンショック後の経済が投資頼みで推移してきただけに、中国経済は成長目標に合わせて投資を積み増さざるを得ない。その結果、中国の債務問題は深刻化し、灰色のサイは一段と大きくなるだろう。
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)