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ニ-マルショック 中国も主役か?

The Wall Street Journal.
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米トランプ政権はこの1年、中国から流出する資本は信頼感低下の印だと主張することに多くの時間を費やしてきた。それにより、通商協議で米国の交渉力が高まるはずだった。最近まで、それが事実であることを示す証拠はあまりなかった。だが今はある。投資家は警戒すべきだ。
中間選挙に関する報道ラッシュに隠れて目立たなかったが、中国の2つの重要な数字が最近明らかになった。まず、7-9月期(第3四半期)の国際収支では投資額が2016年以来の純流出を記録した。また、中国の外貨準備は10月に340億ドル(約3兆8700億円)減少した。この減少幅は、月間としては16年終盤以降で最大だ。
中国の外貨準備は15、16年に1兆ドル近く減少したが、それを招いたような持続的な流出圧力は依然ほど遠い。だが今回のデータは、中国の投資環境が過去4カ月に目立って悪化してきたことを示す。また、中国の貿易収入は横ばいのため、人民元に対する圧力は高まり、大規模な金融刺激策を講じる余地も一段となくなるということだ。
中国の貿易黒字は1年を通じて弱かった。だがごく最近までは、多額の投資資金が流入し、これを相殺していた。つい6月には、外国人投資家の保有する中国国債が月間800億元(約1兆3120億円)近いペースで増加していた。主要な国際債券指数が中国債を組み込むことにファンドマネジャーらが注目していたためだ。外国勢はなお中国国債を買っているが、そのペースは劇的に落ちた。調査会社ウインドによると、10月の増加幅は200億元にとどまった。7-9月期の中国への純対外直接投資もゼロに近く、力強い純流入があった1-6月から一転した。
7-9月期のデータは暫定のものだ。それに、ドル相場が上昇し、他通貨の準備金の価値が下がったせいで、10月の外貨準備は一段と見栄えが悪い。だが債券市場への流入減速は無視しがたい。外国からの投資が全般に後退していることは、インフレの復活、成長減速、株価の下落を考えれば意外ではないだろう。過熱気味の中国不動産市場での価格上昇は、投資資本を国内にとどめる主因だが、やはり9月に鈍化した。
中国資産に対する外国人投資家の関心――この要素は過小評価されている――があってこそ、今年の元相場下落は鈍化し、中国政府は大量の資本流出を引き起こさずに緩やかな金融緩和を実施できた。外国勢が今、再考しているなら、中国の通貨と政策担当者にはずっと厳しい時期が待ち受けている兆しかもしれない。


まぁ、そもそも中国の外貨準備と、たとえば日本の外貨準備を単純に比較できない。日本の外貨準備は為替介入などに充当できる政府保有の外貨建て資金(資産)であるが、中国では市中銀行保有する外貨もカウントされている。中国の市中銀行と言ってもすべて国有(公営)銀行であるため、政府共産党保有の外貨準備だというカラクリになっている。つまり、中国津々浦々かき集めた外貨建て資金が3兆ドルちょっとということです。
一方、中国国家外貨管理局が発表している中国の対外債務残高が2017年末時点で1兆7106億米ドル。内訳は中長期の外債残高が6116億米ドル、短期の外債残高が1兆990億米ドルとしているが、2018年には2兆ドルあたりにまで膨らんでいることと思われる。ただ。どこまで信じられる金額なのかはわからず、この数値を正しいものと受け取るしかない。
要は、中国の外貨保有が3兆ドル、外貨債務が2兆ドルとすれば、正味1兆ドルの外貨余剰と映るのだが、それが信じられるかというと怪しいのですがね。
正味1兆ドルの中で、貿易など商取引の決済を行っていくにしても、中国は経常収支が赤字へと変わってしまった。
中国国家外為管理局が発表した2018年1~9月期の経常収支は128億ドルの赤字となっている。中国資本は、先進国において技術窃取やスパイ活動の嫌疑で投資すら許されない状況に追い込まれています。中国が外貨を獲得する術が、トランプによって封じられてしまいました。シティグループのリポートでは、過去10年間の経常黒字は下向きのトレンドで、経常黒字は今年事実上なくなると予測していますが、来年以降には中国が継続して経常収支赤字国になると大方予想されています。
外貨準備の減少、外貨債務の増加、この事象がもたらす結果は、過去の経験則からは債務不履行(デフォルト)に行き着きます。
まぁ、そこまでにはまだ長い年月がかかるでしょうが、2020年に何か騒がしくなるチャイナショックが起きても不思議には思えません。

ちなみに、9月の日本の経常収支は1兆8216億円の黒字。経常収支の黒字はこれで51か月連続です。