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個人・家計部門の借金バブル

My Big Apple NY
米保険大手ノースウエスタン・ミューチュアルの2018年版家計調査によれば、1人当たり平均で前年から1,000ドル増の3万8,000ドル也。ちなみにこちら、住宅ローンを除いた金額ですから、衝撃的ですらあります。
債務ゼロの割合も、低下していました。2018年調査では借金なしが23%にとどまり、前年の27%以下に。債務別では住宅ローンとクレジットカードがそれぞれ25%とトップで並びつつ、住宅ローンが2017年の29%から低下した一方で、クレジットカードは前年の19%から大きく上昇していました。
アメリカ人の借金体質は変わらずとはいえ、安穏としているわけではありません。家計の最優先事項は、債務縮小が1位で53%でした。2位の家計予算の見直し(36%)、3位の貯蓄(29%)を大きく突き放します。NY連銀の調査で示された低い延滞率は、労働市場を追い風としたアメリカ人の返済努力の証とも捉えられる。裏を返せば、景気減速局面でアメリカ人の家計は支出調整に舵を切ると考えられます。

一方、中国では、経済を巡る8月の先行指標は景気拡大ペースが4カ月連続で鈍化したことを示した。
上海財経大学高等研究院が公表した研究調査によると、2017年までの中国家計債務の対可処分所得比率は107.2%に達した。米国の現在の水準を上回ったうえ、08年世界金融危機が起きた前の米家計債務水準に近い状況だという。
資料によると、中国は2013年に世界で貯蓄金額が最も多い国だった。当時の貯蓄率は50%を超え、世界の平均水準を大きく超えていた。
中国人の家計負債の割合が高くなったのは、中国家計債務の6割以上が住宅ローンだと指摘された。一部の市民が、頭金の調達は自己資金からではなく、頭金ローンや消費者金融などを利用しているため、金融リスクを拡大させているという。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の経済学者、兪偉雄氏は、中国経済の減速による失業率の上昇と所得減少で、今後住宅ローンの返済が困難な人が急増する恐れがあると指摘した。「これによって、金融リスクは住宅市場から金融市場全体まで広がる可能性が高い」と述べた。
一方、中国の蘇寧金融研究院は、家計債務の増加ペースが非常に速いとの見解を示した。過去10年間において、部門別債務比率をみると、家計等の債務比率は20%から50%以上に膨張した。一方、米国では、同20%から50%に拡大したのに40年かかったにもかかわらず、中国の短期間での急増ぶりは異常に映ります。
上海財経大学高等研究院は同研究報告を通じて、公にされていない民間の貸し借りを加えると、中国の家計債務規模はすでに「危険水準に達した」と警告した。
家計債務の急増は個人消費に影響を及ぼし、中国個人消費の動向を示す社会消費品小売総額の伸び率は7年間連続落ちているのはこのためだと説明している。
個人消費の不振は企業収益の減少、銀行の不良債権の増加につながる。追い討ちをかけるのが、トランプによる貿易戦争である。トランプに言わせれば「戦争」ではなく「競争」であって、高関税をかけるのも「競争」に打ち勝つための手段として、たづなを緩めない厳しい姿勢を貫く。
上海財経大学高等研究院の見解では、今後中国経済がハードランディングする可能性が高いと推測した。

世界的に、個人・家計部門の借金バブルは見事なまでに膨らみあがりました。企業勤めのサラリ-マンにしてみれば、給料賞与は増え、自動車を高価なものへと買い替えたり、手狭になったマイホ-ムをリフォ-ムしたり買い替えたりと、しばらく続いた好景気を謳歌できました。
しかし、景気にはサイクルがあり、残念ながら下降局面入りは避けられないものと思われます。それでもソフトランディングで済めばいいのですが、どうやらハ-ドランディングの可能性が高まってきているのが実情のようです。