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米国の労働市場は転換点に差し掛かりつつある

My Big Apple NY

米国の労働市場は転換点に差し掛かりつつある。米雇用動態調査で求人数が過去最高を記録するほか、米中小企業楽観度指数で賃上げ回答が過去34年間で最大となった。これまで平均時給の前年比は2.5%付近で1980代のような4〜5%台での上昇を継続的に示してこなかったが、遂に加速するのだろうか。賃上げが加速しても、労働者にとってのパラダイスは長続きしない可能性がある。ジェローム・レヴィ・フォーキャスティングのデビッド・レヴィ代表が分析するように、物価上昇は利益率の縮小を招くだけでなく、Fedの利上げペースを引き上げさせる。米国内、海外のバランスシートを圧迫すること必至で、世界経済に与える影響は小幅ではないと想定されるためだ。
税制改革で法人税減税が引き下げられたため賃上げ吸収力があるとの声も聞かれるが、利鞘縮小に直面することに変わりはない。2月の米株安は、いかにインフレ加速が市場を揺るがすかを体現したと言える。米6月雇用統計・非農業部門就労者数が市場予想の18.5万人増を超えたとしても、平均時給の上昇率で冷や水を浴びせられるリスクを残す。市場予想は2.9%だが、3%乗せに注意したい。
米国の非金融企業の純付加価値に対する労働賃金をみると、2018年1〜3月期は69.3%と低迷を続けています。2016年の4〜6月期に69.8%と景気拡大期での最高を示した後は、サッパリです。
比較的高賃金であるベビーブーマー世代の引退という構造要因も、この水準低迷を促していたことでしょう。足元では5月ベージュブックや米5月雇用統計をはじめとした労働指標が賃上げ加速の兆しをみせていますが、平均時給の前年比3%乗せとともに非金融企業の労働賃金が純付加価値比で70%を超えてくるか、焦点となりそうです。