円強気派、クロス円総崩れとの声も
ブル-ムバ-グ
みずほ銀はドル・円相場で年内1ドル=98円までの円高を予想している。唐鎌氏は、実質実効為替相場の長期平均比で円が割安な状況は変わっておらず、「調整すべきマグマがたまっている」と分析。「市場全体がリスクオフになっているときにはクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)も総崩れになっているだろう」と語る。
欧州は秋に政治の季節を迎える。イタリアでは10月にも来年度予算案審議が本格化し、低所得層への最低所得保障や減税などポピュリスト的政策の推進を表明している政府と財政規律重視の欧州連合(EU)との間で対立が表面化する恐れがある。ドイツでは10月の地方選挙を前に、移民政策を巡ってメルケル連立政権内部での対立が深刻化しており、政権崩壊の危機に直面している。
三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、「クロス円ではユーロ圏の政治がリスク要因になる。欧州が不安定化するとユーロ・円が急落し、最大1ユーロ=120円割れまでは十分あり得る」とみる。足元のユーロ・円相場は129円前後。また、年後半は米利上げ局面の天井を市場が意識し始めることでドル安に転じ、ドル・円は最大1ドル=104円まで円高が進むと予想する。
年前半の円相場を揺さぶったトランプ政権の保護主義については、米中間選挙を11月に控えてさらに先鋭化するリスクが警戒されている。米中貿易摩擦の激化で中国景気の減速感が強まれば、鉄鋼石輸出などで中国と関係が深いオーストラリア経済に打撃となり、豪ドルへの影響は避けられない。
しんきんアセットマネジメントの加藤純チーフマーケットアナリストは、豪インフレ率が上がらずに19年中も利上げは行われない見通しが強まれば、足元で1豪ドル=81円台の豪ドル・円相場は「70円台半ばくらいになってもおかしくない」とみる。
米利上げ加速期待からのドル高圧力と貿易摩擦懸念からの円高圧力の綱引きで、ドル・円は春以降、108円から111円のレンジ相場が続いている。年前半の値幅は1月高値の113円39銭から3月安値の104円56銭までの9円弱。年後半もこのレンジに収まれば、年間の値幅は10円だった15年を下回り、変動相場制移行後の最小となる。ブルームバーグがまとめた市場のドル・円予測(中央値)は、9月末、12月末ともに109円となっている。
JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、年後半は米経済一人勝ちの状況から世界的に「シンクロナイズドした経済成長」になることでドルが売られる通貨になり、ドル・円はレンジの下限を試すような展開を予想。ただし、「105円ぐらいになれば投資家が出てくるだろう。それほど円は強くならない」とみている。
ならば逆に、ハ-ドブレグジットがサプライズになって、ポンドの歴史的急落を目の当たりにできる可能性があります。あと8ヶ月、じっくりと観察していきましょう。