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信用不安が広がるドイツ銀行

サンケイ

ドイツ銀行への信用不安が広がっている。米国の連邦預金保険公社が米国のドイツ銀の子会社を「存続が脅かされるほどに財務に弱さがある銀行」のリストに加え、昨年、米連邦準備制度理事会FRB)も同様の判断をしたと報じられたからである。また、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ドイツ銀の格付けを「BBB+」に引き下げた。この2つの要因からドイツ銀行の株が売られ、株価が過去最安値を記録したのである。本質的な収益の改善には程遠く、赤字決算が続く中で、今回の危機が起きた。
この問題の背景には中国との問題も絡んでいる。実はドイツ銀の筆頭株主は中国の海航集団であり、海航集団も経営危機に陥っており大規模な業務再編の最中にある。つまり、共依存の関係にあるともいえるのだ。どちらかが破綻すればそれが連鎖する可能性もある。ドイツ銀は排ガス問題を抱えるフォルクスワーゲン(VW)グループと世界最大の自動車部品、素材メーカーであるボッシュのメインバンクであり、このどちらもが中国が最大の顧客なのである。つまり、中国の製造業の要の一つでもあるのだ。
そして、ドイツ政府としては、自国の産業基盤の破壊ともいえるドイツ銀の破綻を許すわけにもいかず、非常時には国有化を含む資本注入を含めた対応を行うものと思われる。


経営の先行きが危ぶまれたドイツ銀行は17年に80億ユーロ(1兆円超)の大規模増資を実施したが、その後も収益力が回復しない。
ドイツ銀行の株式に対する空売りが、グローバル行の中で最大規模に膨らんでいることが明らかになった。
調査会社FISアステク・アナリティクスによると、信用取引で貸しに出されているドイツ銀行株は現在10億ドル近くにのぼり、ドル建てで見るとグローバル行の中で最も多い。