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アジアインフラ投資銀行(AIIB)の実態

中国人民銀行 預金準備率を100bp引き下げ

中国人民銀行は17日、預金準備率を100bp引き下げると発表した。25日に実施する方針で、引き下げは一定条件を満たす銀行向けに行った2017年9月以来となります。大手銀の預金準備金利は16.0%、中小銀行は15%へ引き下げられる予定。声明に基づけば、預金準備率の引き下げで浮いた預金のうち9,000億元を中期貸出ファシリティー(MLF)の返済に充て、残りの4,000億元は中小企業への融資促進を目指し市中の商業銀行や地銀に向けられ、四半期ごとに財務内容を査定する”マクロプルーデンス評価システム(MPA)”に含められます。
人民銀は「慎重かつ中立的」な金融政策を維持する文言を維持。政府がインフラ投資を縮小し債務削減に務めるなか、中小銀行など資金繰りを支援する狙いがある。
徐々に苦しくなる中国バブル経済の事実が露呈してきましたかね。

で、中国は何を考えているかと言えば、再びアジアインフラ投資銀行(AIIB)の実態になります。
もはや中国の国内では創り出せなくなった有効需要を、アジアの途上国、とりわけ中国の周辺国、影響力を及ぼせる地域で創出しようというのがAIIBの経営実態でしょう。しかも、中国企業にとって有利なのは、AIIBの資金調達の柱のひとつが海外での人民元建て債券になることです。人民元はすでに貿易決済を通じて流通しており、今は海外で起債ができる環境にある。人民元建てで調達した資金がそのまま人民元建てでプロジェクト代金として支払われれば、中国企業や中国の銀行は為替リスクを回避できるだけでなく、自国通貨であるがゆえに支配的立場になれるのは当然ですから。
つまり、AIIBには人民元の国際化も含めてきわめて多重な目的が込められている。中国は新たな成長戦略として一帯一路とAIIBを組み合わせて推進している。行き詰まりかけている中国バブル経済の綻びを修復させる、中国共産党出先機関というわけです。
日本や米国が参加したくないのは当たり前です。米国が警戒しているのは、中国がインフラ投資を通じて、アジア諸国を取り込み、陸のシルクロード、海のシルクロードなど中国の勢力圏づくりにAIIBを利用するのが目に見えているからです。
AIIBがこれから慎重な融資姿勢になるはずはなく、10年もたてば大量の焦げ付き不良債権を抱えた国際金融機関に転落していることでしょう。