fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

ドル/円と米財政赤字の関係(再掲)

本日は円安相場ですね。
また絶好の円の買い場を与えてくれていると、ポジティブな考え(笑)
昨日、円買いポジションをすべて利益確定にしてしまっため、現在は本日構えたキウイ/円だけの円買いポジションしかありません。様子を窺いながら、ドルやユ-ロの売りを構えてみたいと思います。

さて、ここでドル/円の年足推移と米国の財政赤字(年)の推移を重ねたグラフを見てみます。
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このグラフを見れば、多くを語る必要はありません。
大局的には、ドル/円のレ-トは米国の財政赤字の規模によって決まります。
今後3年間、米国の財政赤字は年1兆ドルの赤字が続くとの予算が示されていますので、ドル/円でのドル売り円買いを安心して行える地合いにあります。

2018年2月9日 ブル-ムバ-グ記事
トランプ政権下での連邦財政赤字拡大を背景に、米国は今年、1兆ドル(約109兆円)余りの借り入れを余儀なくされ、世界的な株安の波乱を悪化させる恐れがある。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米国担当シニアエコノミスト、ジョゼフ・ソン氏は、連邦財政赤字幅が国内総生産(GDP)比で2019年までに5%を超え、第2次大戦以降の完全雇用状態では群を抜く大きさに達するとリポートで警告していた。

2019年2月13日 ブル-ムバ-グ記事
米国の財政赤字が1兆ドル(約110兆円)に向けて拡大する状況について共和・民主両党の政治家はおおむね沈黙しているが、グリーンスパン連邦準備制度理事会FRB)議長は、無関心でいられる状況が続くことはないと話す。
1987年から2006年までFRBを率いたグリーンスパン氏は、「これは極めてアンバランスな状況だ」と述べ、「政治的には、財政赤字はあまり重要ではないが、問題はその影響だ」と指摘した。財政赤字がインフレに拍車掛けるリスクを警告した。
インフレはコントロールされているが、米国の歳出でインフレに拍車が掛かると投資家が懸念し始めれば、海外勢の米国債需要が既に減退する中で、国債購入を抑制する恐れもある。

2019年3月11日
トランプ政権は3月11日、2020会計年度(2019年10月~2020年9月)の予算教書を発表した。表題を「より良い米国予算:約束の履行、納税者第一」とし、無駄な政策を廃止して有効な政策に優先して取り組むとした。
歳出総額は前年度比4.8%増の4兆7,460億ドル(GDP比:21.2%)、歳入総額は6.0%増の3兆6,450億ドル(16.3%)との案を示した。これにより、財政収支は1兆1,010億ドル(マイナス4.9%)の赤字、政府債務残高は18兆870億ドル(80.7%)となり、2018、2019会計年度と比べて財政赤字幅が拡大し、債務残高も拡大する見通しが示された。

最近、米国では「財政赤字は問題ない」という「Modern Monetary Theory(現代金融理論)」が注目されている。「政府による自国通貨での借金は、紙幣を印刷して返済すれば良いのだから、無限に出来る」というものである。もちろん、高インフレになるようなら、インフレ抑制のために増税をすればいいわけで、政府の財政赤字は問題ないというわけである。
しかし、対外純資産がマイナスの国、つまり対外純負債国については、海外投資家が国内投資家よりも逃げ足が速いのは過去の経験則であり、このMMT理論は通用しない。それは、世界のトップに君臨する米国も例外ではないでしょう。
「Modern Monetary Theory(現代金融理論)」が日本のような対外純資産国では通用するが、米国や英国など対外純債務国には通用しない。
そして、インフレについてですが、インフレにもいろいろンタイプがあります。大きく分けて、物価上昇主導のインフレと通貨価値減価主導のインフレです。前述のグリ-ンスパンさんは通貨価値減価主導型のインフレのことを言っています。つまり、極度のドル安の危険性のことを言っています。モノが売れて売れて仕方がない、物価上昇主導型のインフレではありません。
まぁ、日米インフレ格差、対外純資産国と純負債国の対照的な関係、人口減は通貨高・人口増は通貨安(これは私fxdondonの独自理論か)という関係、どれをとってもドル安円高に作用します。
あくまでここでは、ドルの基軸通貨体制が崩壊するとか、米国が世界のトップの座を失うとか、そういうことではなく、米国の財政赤字の拡大は米国ドルの価値が対円で減価することが避けられないという事実だけをお伝えします。