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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

為替相場 米ドルと日本円は転換点か

ロイター
労働省が7日に発表した5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが大幅に鈍化したほか、賃金上昇率も予想を下回った。経済活動のモメンタム低下が労働市場に広がっていることが示され、FRBが年内利下げに踏み切るとの見方が強まりそうだ。
非農業部門の雇用者数は7万5000人増加。ロイターがまとめたエコノミスト予想は18万5000人増だった。時間当たり平均賃金は前月比0.2%増。予想は0.3%増だった。3月と4月を合わせた雇用者数は従来から7万5000人分下方改定された。
5月の雇用の伸びは、労働年齢人口の伸びを維持するのに必要な約10万人を下回った。トランプ政権がメキシコに対しても「関税カード」をちらつかせる中、パウエルFRB議長は今週4日、貿易摩擦が経済に及ぼす影響を注視しつつ、景気拡大の維持に向け「適切に行動する」と表明、利下げに含みを残した。
バンク・オブ・アメリカメリルリンチエコノミスト、ジョゼフ・ソン氏は、今回の統計で利下げの可能性が高まったとした上で「貿易摩擦が景気の足を引っ張る中で、FRBは9月と12月に利下げを迫られるだろう」と述べた。
シティの通貨ストラテジスト、エブラヒム・ラーバリ氏は、9月に0.5%、12月に0.25%の利下げを実施するとの見通しを示した。ラーバリ氏は、課題の多いグローバル環境と国内インフレ率の低迷により、6月にはバランスシート縮小の「早期停止の可能性」、7月には 0.25% の利下げが実施される「重大なリスク」があるとした。
資産運用会社の米ブラックロックは、今後数カ月以内に0.25―0.50%の利下げを行う可能性があるとの見方を示した。
債券マネジャーのリック・リーダー氏は「労働市場の弱まりや貿易摩擦を巡る不透明感から、FRBは向こう1年で利下げ政策に転向し、今後数カ月以内に金利を0.25ー0.50%引き下げる可能性がある」と予想した。


米国は利下げ、そして個人的に注目しているQEの後始末中断と、ドルには先安感が漂います。
長らく続いてきたドル高相場も、いよいよ転換点を迎えた感じです。
ただし、英国にはブレグジット後に利下げの可能性、ユーロには量的金融緩和再開、オージーには利下げ観測と、米ドル安が一方的に進む環境とも言えません。
ということで、私fxdondonは金融政策ではしばらく中立を維持しそうなカナダドルを買い持ちにして様子を窺います。


ブルームバーグ
円とフランは上昇の公算、貿易摩擦で直接投資鈍化なら-ゴールドマン

イスラエルとオーストラリア、ブラジルは逆風に直面か-パンドル氏
●スイスと日本の通貨は過去1カ月のリターンがG10通貨で上位に

ゴールドマン・サックス・グループによると、世界的な貿易摩擦を受けて国境を越えた直接投資活動の減速に拍車が掛かった場合、円とスイス・フランが恩恵を受ける可能性がある。
日本とスイスは世界最大の対外直接投資(FDI)の供給源であるため、それが冷え込めば両国からの資金流出を妨げ、両国の通貨を押し上げる可能性がある。ストラテジストのザック・パンドル氏が6日付の顧客向け文書でこう分析した。逆に、FDIの受け手になる傾向のある国の通貨は圧迫され得るという。
同氏は逆風に見舞われかねない国として、イスラエルとオーストラリア、ブラジルに言及。これらの国が受け取る年間FDIは国内総生産(GDP)の4%強に相当する。メキシコも貿易の先行き不透明感が続けば、国外からの投資が鈍化する恐れがあるという。
関税を巡る不確実性やその他の経済的懸念が市場を揺さぶる中、スイス・フランは過去1カ月間のリターンがG10通貨で最高となっており、対ドルでは2.6%上昇。円は2番目に好調で、約2.1%値上がりしている。


「逆風に見舞われかねない国として、イスラエルとオーストラリア、ブラジル」ですか。
私fxdondonは、それに加えて、南アフリカ、トルコ、香港、韓国など、お決まりの新興国悲観です。

ブルームバーグ
5月31日の金曜日、アジアのトレーダーの朝はトランプ米大統領の予想外の動きで始まった。メキシコからの輸入品に関税を課すという発表だ。これで明らかに起こると思われた動きは、円への資金殺到だった。
日本以外の国・地域が不安定に見える際、円を買うのは古典的な取引だ。日本の経常黒字および米国債や海外不動産などの資産保有は、日本が海外から資金を借り入れる必要がないことを意味するためだ。世界の投資家は、波乱の時期には日本の銀行預金や日本国債で資金を持つのが安全だと考えている。これが、円相場を押し上げる。また、ドル・円は世界で2番目に多く取引される通貨の組み合わせで、流動性が極めて高いため、円を買うのは容易だ。
しかし、この教科書通りの取引はかつてほどうまく機能しない。5月31日の取引では、最初の30分間でS&P500種価指数先物は1%下落したが、円は0.2%しか上昇しなかった。円が1.2%上昇したのは、中国から保護主義的な発言がいろいろ出てからだった。
1.2%は控えめな動きに見えるが、円の1日の上げとしては2年ぶりの大きさだった。数分で同じくらい、あるいはもっと大きく動いたかつての状況からは様変わりだ。例えば、2016年6月に英国が国民投票欧州連合(EU)離脱を支持した結果が明らかになった際、円はドルに対し一時7.2%上昇した。JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、5月末の朝のニュースは衝撃的で市場にとって新しい材料だったため、ドル・円はすぐに反応したはずだったと指摘。 そうならなかったのは、一種の構造的変化だと述べた。
5月にトランプ大統領が中国に追加関税を課した時、円は確かに主要通貨の中で最良のパフォーマンスを見せたが、6月4日時点の円相場は1ドル=108円09銭前後と、年初の109円69銭からそれほど変わっていない。この間に貿易摩擦が高まり、米連邦準備制度ハト派転換でドル需要が後退したにもかかわらずだ。
佐々木氏によれば、これには幾つかの理由がある。1つは、日本銀行が金融政策の正常化を検討するのは遠い先のことだという認識が広く浸透したこと。日本の金利は非常に低く、先月にはクーポン0.99%のジャンク債が売り出されたほどだ。このため日本の機関投資家はプラスのリターンを得るために資金の多くを海外に投じる必要があり、円以外の通貨の需要が押し上げられる。小規模な資本逃避だと佐々木氏は述べた。
もう1つは、日本企業の行動だ。日本企業は昨年1000件を超える海外資産の買収を行い、総額は1910億ドル(約20兆6500億円)に上った。年40万人以上の人口減少ペースで日本市場が縮小する中、多くの企業が海外収入の割合を増やそうとしており、この傾向は続くとM&A(企業の合併・買収)の専門家はみている。
ドルやその他の外貨に対する強い需要は、安全資産への逃避で円が買われるたびに、ドルの押し目買いを促す。これで、ドル下落と円上昇は抑えられる。
では、投資家はどこへ資金を向けるのか。このところ利回りが低下しているとはいえ、米国はプラスのリターンで際立っている。 5月末の10年物米国債利回りは2.16%。これに対し日本はマイナス0.09%、ドイツはマイナス0.20%。金利差のおかげで、安全な避難先という概念が揺らぎつつあると、ラボバンク・インターナショナルの通貨戦略責任者ジェーン・フォリー氏は話す。「逃避先としての円への流れは続くと思う」とした上で、1ドル=105円になるには、米国とイランの紛争のような「大きな地政学的ショックが必要だろう」とも述べた。


ふ~ん、円は昔ほど強くならない?
というか、今から円が一気に強くなるわけがない。円選好の私fxdondonにしても、今はこの程度だと思います。
世界経済の悪化にしても、「事実」ではなく「懸念」ですもん。まだ新興国が揃ってリセッション入りしたわけでも、先進国揃って利下げや金融緩和を復活させたわけではない。
相場格言で、「噂で買って、事実で売る」というのがありますが、円相場っていうのは「噂で買って、事実でさらに買う」なんですから。そこで示された事実がさらなる噂を招き、その噂がまた事実として示される、その繰り返しの中で、円は強さを加速させていくもの。
要は、2007年以降の金融危機時の円相場がいい例です。円が最高値をつけたのは2011年です。それも一気に下げ続けたわけではありません。
現在、レバレッジドローンやジャンク債がまだ不良債権化したわけじゃない。
まぁ、そのうち、わかるでしょう。