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JPモルガンの「弱きスタンスになった場合の戦略」

ジェイミー・ダイモンCEOを筆頭に、いまだ世界経済に対して強気スタンスをとっているJPモルガン
しかし、そのJPモルガンから「仮に景気後退になれば」という条件付きでのレポートは興味があるでしょう。
「景気後退期には債権者が資金を回収しようとする。中略・・・、景気後退期に保有すべきトップ4通貨のうち3つは、極めて強い対外ポジションを有する国の通貨だ」と、JPモルガンのレポートをBloombergが紹介している。
JPモルガンの言うトップ4とは、スイスフランシンガポールドル、米ドル、そして日本円。
同社ではこれら4通貨を調達通貨とするキャリー取引が、景気後退になったら大きく巻き戻すと予想している。
JPモルガンによれば、トップ4通貨の中で日本円が最も魅力的で、シンガポールドルが最も魅力が小さいという。
過去の傾向を見る限り、景気後退期の日本円のパフォーマンスは必ずしも優れなかったが、JPモルガンは現在の円の実質実効為替レートで40年平均より23%も安くなっている点に注目し、日本円の隠された強さを指摘している。
過去には日本円が景気後退の前にすでに割高になっていたケースがあったためにその後のパフォーマンスが目立たなかったが、今回は日本円が大きく割安となっているためパフォーマンスが大いに高まる可能性があるという。このため、JPモルガンは、日本円が「景気後退期のヘッジの主役を担う」と考えている。
まぁ、日本が望むと望まざるとにかかわらずリスクオフの円買いが起こるというのは経験則であり、別に目新しいことではない。ただ、過去の世界の景気後退期からすでに10年以上経過し、日本と世界各国のインフレ格差が現在まで進行しているわけなので、現在の為替レ-ト水準を踏まえると日本円は割安なうえ、日本の対外資産、対外債権が拡大した中での日本の資金回収、レパトリは前回の景気後退期よりも巨額で測り知れないものとなっている。
一方で、回避すべきは新興国市場の通貨だという。新興国通貨は景気後退の影響を受けやすく、過去のデータによれば景気後退スタートから2年間で平均17%も減価したのだという。
これも経験則であり、別に目新しいものではないが、逆に新興国は前回の景気後退期よりも対外債務を膨らませてきた。債権者、出資者の資金引き揚げは、前回よりも巨額で測り知れないものとなっている。
つまり、債権側も債務側も、前回よりも巨額で測り知れない金額が動くということです。
「山高ければ谷深し」、これは相場格言ですが、前回の景気後退期が富士山から下の谷を観たと仮定すれば、今回はエベレスト山から下の谷を観るという例えになるのでしょうか。

補足ですが、名目為替レ-トだけを観て、円安だ円高だと判断するのは愚の骨頂です。例えば、ドル/円で120円を超えてたから円安で、今の110円は円安ではないというような観方。これは、経年によるインフレ調整、つまり実質をまったく無視した観方であり、難しい高度な経済学とは言わないまでも、インフレとはどういうことか初歩的な経済学ぐらいは頭に入れておいた方がいいでしょう。