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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

日本政府の保有する外貨準備は不要。早く処分を!

金融危機が起きれば円高、そうは限らない。あくまで他国が招いた金融危機ならその通りになろうが、日本だけの金融危機であれば円安になる。そんな例が、日本のバブル経済崩壊時に観られた現象です。
バブル経済で主役になるのは、日本も先般の米国も同じで、不動産や住宅によるもの。レバレッジ(借金)が貸し手の不良債権になるお決まりのパタ-ンです。1996年に計13兆円もの負債を抱えた住宅金融専門会社住専)7社が破たんし、1997年11月に北海道拓殖銀行山一証券などの経営破綻や自主廃業に及ぶ。他の金融機関も青色吐息の状況が続いた。外国は、どこ吹く風、ってなもんで、大した影響はなし。そんな状況では、投機筋はこぞって円を売りますよ。
1998年に1ドル=147円台に突入したときには、政府もさすがにドル売り介入を行った。2兆8158億円の円買いドル売りです。まぁ、保有する米国債を売却したわけですが、当時日本の外貨準備の10分の1を使ったようです。
外貨準備とは、政府が為替レートに影響を与える目的で介入のために保有する外貨資産などであるが、民間からの円の借金で投資された政府保有の外貨資産にもかかわらず、為替リスクがまったくヘッジされていないんですよね。困ったもんです。
そもそも為替介入は外貨準備保有で儲けを出すことが目的ではなく、為替レートの安定化に主眼があるという言い分ですから。
 
もう大昔の話になりますが、先進国は自由貿易を守るため、協調的なドル安路線を図ることで合意した「プラザ合意」というものがありました。当時、大蔵省財務官として為替介入政策の責任者だった行天豊雄氏は、メディアで次のように当時を回想しています。
 
『中曽根総理(当時)から企業の3月決算を乗り切るために170円台を死守してほしいと直接指示された。しかし、プラザ合意後の急激な円高は市場の力を嫌というほど思い知らされた。「市場をコントロールしようとしてもできっこない」。現在日本が保有する外貨準備は他の先進国と比べると、絶対水準(金額)が大きいだけではなく、その国のGDPや為替市場の規模との比較でもケタ違いに大きい。
たとえばユーロ圏17カ国の外貨準備は3000億ドルで対GDP比で2.5%に過ぎない。これに対し日本は実に19.4%にも達している。1日の為替取引額の比較でも、英国は0.04倍に過ぎないが、日本は3.4倍に達している。為替市場の規模との対比で日本は英国の約90倍もの外貨準備を持っているのだ。
外貨準備は巨額になればなるほど為替リスクは大きくなる。また、日本以外の先進国では、日本に比べ極めて低い水準の外貨準備しか持っていないにもかかわらず、特段の問題なく経済運営がなされている。この2点を考慮すれば、日本がとるべき政策は、他の先進国を基準にして、異例に高い外貨準備を大幅に引き下げていくことだと言える。
では、具体的にどの程度まで減らすべきか。他の先進国の状況を踏まえ、外貨準備の約8割を数年かけて市場で売却し、現在の5分の1程度の水準を提案する。その場合でも、他の先進国よりも多く保有することになる。介入効果の実証分析を踏まえれば、売却による為替レートへの影響を心配する必要はない。
米国債の大量売却は、米国債価格の下落を招ぐと懸念されるかもしれない。しかし、米国の国債市場では年間約180兆Jもの取引が行われており、数年かけて売却する限り、米国国債市場への影響はない。実際、03~04年春の35兆円超ものドル買い介入が、米国国債市場に影響を及ぼした形跡はまったくない。
筆者が経済論壇で外貨準備8割売却を初めて提案したのは2007年だった。当時の為替レートは1ドル=120円前後で、外貨準備売却を始める好機であった。しかし、現状の為替水準でも、外貨準備売却を始める必要性は変わらない。今後のレートがどのように推移するかはわからない。過去の負の遺産から生じるリスクのさらなる拡大を防ぐことは、いつ始めても遅すぎることはない。』

確かに昔は、日本にドルをすぐ用意できる外貨準備が必要だった。しかし、今は必要ない。かつて財務官だった行天さんが述べている通り、2007年の円安時に政府保有の外貨準備はすべて処分すべきだった。
何故って、そんな自分が貯める「積立金」は今や不要で、いつでもいくらでも気軽にキャッシング!別に、アイフルとかじゃないですよ(笑)
ご存知ない方もいるようですが、日本と先進国主要中央銀行との間で通貨スワップ協定が結ばれています。
日本は米国と引出限度額が無制限、有効期限が無期限の通貨スワップ協定を締結している。主体は日本銀行ニューヨーク連邦準備銀行で、取引内容はニューヨーク連邦準備銀行日本銀行に対してドルを提供し、日本銀行ニューヨーク連邦準備銀行に対して円貨を提供する為替スワップ取引である。
また、欧州中央銀行イングランド銀行スイス国立銀行カナダ銀行などとも、引出限度額が無制限、有効期限が無期限の通貨スワップ協定を締結している。
詳しくは、日本銀行のホ-ムペ-ジから確認することができます。
http://www.boj.or.jp/intl_finance/cooperate/index.htm/

逆に言えば、英国やスイスやカナダも引出限度額が無制限、有効期限が無期限の通貨スワップを利用できます。もし、円が必要なら必要なだけキャッシング!
しかし、中国は違いますよ。外貨準備は生命線となります。
有事に日本円と人民元を交換する通貨スワップは、2002年3月に、アジア通貨危機に対応する形で構想された「チェンマイ・イニシアティブ」の一環としてスタートしたが、日中関係悪化を背景に、2013年9月に期限を迎えた後は更新されていない。中国への円借款も終わらせたことは、前にブログ記事に記載した通りです。
中国人民銀行通貨スワップ協定を締結している中で、引出限度額が無制限、有効期限が無期限の通貨スワップ協定はありません。
かつて欧州中央銀行(ECB)と中国人民銀行との通貨スワップ協定は、規模3500億元450億ユーロ、期間3年という限定的一時的なもの、イングランド銀行も2000億元200億ポンドというもの。現在、有効となっている規模や期間については調べてませんが。
また、ロシア中央銀行と1500億元の通貨スワップ協定を結んでいますが、仮に中国が人民元危機に追い込まれるような状況で、ロシアル-ブルがどれだけ役に立つのでしょうかね?中国と密接な関係にある国の通貨や、新興国通貨は軒並み下落しているでしょうから。
中国は、今はまだ簿外で不動産バブル、株式バブルの綻びをごまかしていられますが、世の中ごまかし続けられるほど甘いもんじゃありません。ウソは必ずバレるんですから。