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英国 合意なき離脱の準備が疎か

ロイター
英政府は、欧州連合(EU)が離脱協定案の再交渉に応じないと想定して合意なき離脱への備えを加速している。閣僚らが28日に明らかにした。
ジョンソン新首相が合意なき離脱に向けた準備の責任者に指名したゴーブ前環境相は、28日付のサンデー・タイムズへの寄稿で、EUからより良い離脱条件を引き出すため「徹底的に取り組む」意向を示した。
その上で「EUが考えを改めることを依然望んでいるが、翻意しないという想定で行動する必要がある。合意なき離脱はいまや非常に現実的な見通しであり、備えを確実にしなければならない」と指摘。「合意なき離脱への備えは現政権の最優先事項だ」とし、そのために必要な資金を投じる考えを示した。
また、合意なき離脱に向けた国民や企業の態勢を整えるため、大規模な広報活動を実施すると明らかにした。
サンデー・タイムズによると、ジョンソン首相はEU離脱を巡る決定を行うため6人の主要閣僚で構成する「戦時内閣」を設置し、合意なき離脱に向けた緊急予算を10月7日の週に発表する用意を進めているという。
ジョンソン内閣で財務相に起用されたジャビド前内相はサンデー・テレグラフへの寄稿で「就任初日、合意の有無にかかわらず10月31日に離脱するため追加資金が必要な分野を早急に特定するよう担当者に指示した」と明らかにし、国境管理担当者の増員などに充てる大規模な追加資金を来週発表する考えを示した。
こうしたなか、オブザーバー紙は前週辞任したハモンド財務相が合意なき離脱の阻止を巡り野党・労働党と協議したと伝えた。
労働党のコービン党首は28日、合意なき離脱の回避に向けて党としてあらゆる手段を講じると表明した。
ジョンソン首相はこれまで離脱前の総選挙に否定的な立場を示しているが、与党・保守党は下院で過半数に達していないほか、離脱を巡っても結束していない。休会開けの9月には不信任投票の可能性もある。
サンデー・タイムズが伝えたユーガブの世論調査によると、ジョンソン首相就任を受けて保守党の支持率は労働党を10ポイント上回った。これを受けて早期の総選挙の観測が高まる可能性がある。

ブルームバーグ
英国の欧州連合(EU)からの離脱期限である10月31日に「合意なき離脱」が起きる事態に対処する準備が、英国もEUも整っていないと英産業連盟(CBI)が危機管理に関する報告書で分析した。
CBIは28日公表した報告書で、「経済にとって重要な分野のうち、英国とEU、産業界の全てで合意なき離脱の準備が十分整っている分野は存在しない。どこも準備ができていない」と指摘した。
ジョンソン新首相は、港湾作業の遅れや医薬品など生活必需品の不足といった経済的な混乱を招く恐れのある合意なき離脱に備えて、準備を加速させると約束した。
人とモノの移動、アイルランド国境、自由貿易取り決めを含む27分野を検証したCBIの報告書によれば、準備不足はEUサイドでより顕著になっている。報告書を執筆したCBIのEU交渉担当責任者ニコル・サイクス氏は「合意なき離脱の可能性がますます高まってきたように思える。英国とEU当局が多くのことを行ったが、あらゆる面で準備に改善の余地がある」との見解を示した。

英国において、合意なき離脱の準備が疎かであることが次々と明らかになっている。
当初、3月31日に離脱するはずが、10月31日へと7ヶ月も延伸された。にもかかわらず、離脱の準備がまるで進められてはいなかった。
そのため、貿易輸出入での通関手続きやら関税、入出国の手続きやら、かなりの混乱も予想される。そして、金融デリバティブにおいて、本当に悪影響が無いのであろうか?欧州金融での不安も残る。