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次の危機時には「1ドル=60円まで行く」と予想  GSストラテジスト

ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、ベルンハルト・ジメルカ氏は対策を立てている。
欧州金利市場の戦略責任者を務める同氏は2月末、シドニーでの会議で次回の不況を考えると「マクロ的には、主に圧力がかかる相場はドル・円だと強く思う」と発言。「米金融当局が金利をゼロまで下げたらドル・円がどこまで行くと思うかと皆に尋ねている」と語った。米当局が異例の金融緩和を採用した前回に起きた展開を考慮すれば、次回は円が過去最高値を更新するとみているという。
2008年の「リーマン・ショック」後、米当局が短期金利を引き下げ、量的緩和(QE)を導入して長期金利を押し下げる中で、円は大きく上昇。11年10月には戦後最高値となる1ドル=75円35銭を付けた。
ジメルカ氏は、次の危機時には「1ドル=60円まで行く」と予想する。「ドルに対して日本の金融システムに構築されている巨大なレバレッジがある」と述べた。
国際決済銀行(BIS)も日本の銀行が蓄積した大規模なドル資産のリスクを強調していた。BISによれば、この資産は市場ベースの資金調達に依拠しており、邦銀は海外の融資に対して十分なドル建ての預金がない。このミスマッチは16年末までに数千億ドルに達していたと、BISは17年6月に公表した報告書で指摘した。
また、一部の邦銀は国内の低リターンに強いられて、海外債券を大量に保有している。モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏がまとめたデータによると、ゆうちょ銀行や農林中金が、そのような資産を数千億ドル相当抱えている。
日本の当局は自国の金融機関の資本水準は堅固だとしているが、ジメルカ氏の計算は、危機時に円が急騰し海外資産の価値が下がればそうではなくなる可能性を示唆する。
「米当局が利下げしQEをちらつかせるようになれば、日本の金融システムには人々が認識しているよりずっと多くのマイナス面と資金面でのストレスが生じるだろう」と同氏は述べた。(ブルームバーグ