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USD/JPY 大局的な経験則、観方 【重要】

今回は、ドル/円の動きを大局的にどう観るべきかを考察していきます。
来年2019年はドル安円高か、ドル高円安か、市場関係者の予想は様々です。
米国の景気動向、利上げ動向など、それらを交えながら語るものが多いですが、大局的な観方としては意味がありませんし、相場を一貫して語るには無理があります。
まずは、ドル/円の年足推移。
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これを観ると、2015年のドル高をピ-クにドル安へと推移しています。米国の政策金利は現在でも引き上げられていますので、利上げはドル高だという一貫した説明がつきません。米国の景気にしてもすでにピ-クアウトしたとは言え、2016年、2017年と好景気が続いていました。株価にしても最高値を更新し続けていました。しかし、ドル/円では2015年を境にドル安円高の傾向を示しています。
局所的(ある一時期)に相場を語るには、米国の景気や利上げ動向を材料にするのはいいのですが、大局的な相場を語る時にそれらでは説明できないのです。
では、ドル/円の方向性を一貫して説明できる材料とは? それは、米国の財政収支にあります。
はぁ?財政収支?と意外に思われるでしょうか?そう思われる人は、ドル/円のトレ-ドで損をしてきた人ではないでしょうか?
では、米国の財政収支の年間推移。
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たとえば、2005年から2007年あたりに米国の財政収支は赤字改善が観られます。ですから、ドル/円の推移もドル高円安に動いています。
また、2008年以降、巨額な財政赤字となった時期には、ドル/円ではドル安円高が進行しました。
そして、2015年を境にしてドル/円の相場がドル安円高に折り返したというのは、米国の財政収支で財政赤字が再び拡大したことと一致しています。
そして、今後の米国の財政収支の見込みは、赤字の拡大となっています。つまり、ドル/円では、これから 「大きく」 ドル安円高へ動こうとしていることが読み取れます。
なぜ、「大きく」ということを強調したかと言えば、一方の日本の財政収支の動向によるものです。日本は財政健全化を進めようと、財政収支の改善を打ち出しています。つまり、米国の財政は赤字拡大、日本の財政は赤字縮小となり、その乖離がドル/円相場でのドル安円高の流れを「大きく」すると考えられるからです。
大局的な傾向は、米国の財政収支の絶対額で観ればいいのですが、対GDP比での財政収支状況も参考になります。
では、日米財政収支を対GDP比の推移で見てみましょう。
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ここ2~3年、ドル/円のボラティリティ(変動幅)が小さくなったと言われますが、それは対GDP比での日米財政赤字比率が似たようなものになっているからだと説明できます。
しかし、その比率がこれから変わろうとしています。米国は対GDP財政赤字比率が拡大、日本は縮小となります。ですから、ドル/円相場も「大きく」動こうとしているわけです。
トランプさんは、メキシコ国境に大きな壁を建設するんだと意気込んでいますが、それは 「ドル安にするんだ!」 と言っていることと同じです。
所詮、景気や利上げ動向は為替相場にとって小さな要因に過ぎません。それで、為替相場を語ることはできません。ドル/円の大局は、米国の財政収支によって決まる、そう心得ておく必要があります。
どうか、FXトレ-ダ-の皆様が、この先も勝ち組でいられるよう願っております。