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米国2019年度(2018年10月~2019年9月)の予算で財政赤字1兆ドル

米国2019年度(2018年10月~2019年9月)の予算教書について振り返ってみましょう。
本来なら米国の財務省ホ-ムペ-ジを参照するのが一番ですが、英語がわからない人は、日本の外務省ペ-ジにて和訳したのをエッセンスとして掲載している。そちらをご参照。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na2/us/page25_001258.html

概要
2019年度予算  
歳入3.4兆ドル 歳出4.4兆ドル 1.0兆ドルの財政赤字 

トランプ大統領のメッセージ(予算教書冒頭)
・現在の財政の道筋は持続可能ではない。本予算教書は,無駄な支出を止め,国の債務を減らし,「国を守る」という最も重要な点にフォーカスするために必要で困難な選択をしている。
連邦政府の責務を全うするため,軍を再建し近代化する。
・国境を十分に守るという私の政権の真剣かつ進行中のコミットメントを反映する。南西国境の「壁」及び法執行のための追加的なリソースを提供する。
・1兆ドルのインフラ投資を産み出すという米国インフラの新しいビジョンを反映する。

トランプさんはここまで、公約順守を遂行してきた。口に出したことは、必ず実行に移してきた。
『国境を守る』、『軍を再建』と口に出している以上、これも実行に移す。トランプさんは、公約順守に努める姿勢を支持者に向けてアピールするため、影響が比較的少ないこの年末年始時期を狙って、与野党の対立を演出した節もうかがえる。いわば、仕組まれた対立劇である。
こうした光景はねじれ議会とも相まって、来年ますます増えていくかもしれない。

財務省が10月15日に発表した、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)の連邦政府の歳入・歳出・財政収支によると、2018会計年度の財政赤字は、前会計年度から1132億ドル拡大して、7790億ドル(GDP比3.9%)となった。財政赤字幅は3年連続で拡大し、今回の予算から言えば4年連続で財政赤字拡大となります。
2018会計年度では、米連邦準備制度理事会FRB)による政策金利引き上げなどを受けて金利上昇が進む中、純利払い費は3247億ドルとなり、前年比で23.6%増と大きく増加していた。しかし、FRBによる金利引き上げはまだ続いているわけです。
フィナンシャルタイムスによれば、米国政府による公的債務の元本返済と利息支払いの合計額が現在、毎日(1日当たり)14億3000万ドルに達しており、ほかの主要7カ国(G7)諸国の10倍以上になっているという。もし金利が今よりも上昇したら、公的債務とその元利返済は一体どうなるのかという不安が渦巻いている。
米議会予算局(CBO)によれば、米国が2018会計年度に支払った借入利息は約3247億ドルだが、米10年物国債利回りで3.7%、3か月物財務省短期証券利回りで2.8%に向けて上昇すると想定するなら、1年間の元利返済額は2028年までに3倍に膨らみ、金額で言えば1兆ドル近くに達するという。
そういったこともあり、新債券王ことダブルラインキャピタルのジェフリ-・ガンドラック氏は、将来の米国債・米国株・米ドルのトリプル安を予想している。いつもと違うのは、現在が景気サイクルの終期であるにも関わらず財政赤字が拡大している点を指摘している。
ガンドラック氏は今年3月、米10年債利回りが3%を超えれば、ほぼ間違いなく株式やハイイールド債などリスク資産に悪影響が及ぶと述べていた。「S&P 500が今年下げるだろうという考えは、いつになく強い確信になっている。10年債利回りが加速し3%を超えようとしているためだ」。
結果はどうかと言えば、米10年債利回りが3%を超えた時期が到来し、10月末の株価下落を予兆として、この12月に株価は大きく下げた。しかし、ガンドラック氏の描く将来の米国債・米国株・米ドルのトリプル安は、米国危機を想定させる悲惨な結末である。実際、そこまでの出来事が事実となって現れるかどうかは推測の話だが、米国自体がそこまで追いこまれるような状況では、他の国の一部の方がよっぽど深刻な事態を迎えるという発想が必要でしょう。
その一部の悲惨な国とは、たとえば英国である。今、「合意ある離脱」か「合意なき離脱」かが問題とされている。しかし、本当に問題なのはEUに留まるか離脱するかであって、合意があろうとなかろうとそんなことは問題ではない。世界的な危機的状況になった場合、EU諸国は一致団結して危機を回避しようとする。しかし、英国はもはやEUから外れ、逆にEUからツマはじきされる存在に変わってしまっている。英国を守る後ろ盾がまったくない、単に欧州の孤島となってしまうわけです。
英国悲観の第2ステ-ジはEU離脱から始まるが、そのことについては別の記事で後日たっぷりと記述していこうと思います。
話を元に戻しますが、米国の財政収支は赤字拡大はあっても、赤字縮小はない。よって、前の記事で記述した通り、ドル/円相場は大局的にドル安円高が進むでしょう。
そして現在まで発表されている米国の財政収支は、米11月の財政収支は2050億ドルの赤字となった。今2019会計年度の累積赤字(10~11月の2ヶ月)は前年度比51%拡大して3050億ドル、前年度の同期間は2020億ドルだったので、1030億ドル増加している。