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欧州の2020年問題

欧州中央銀行は単一通貨ユーロの金融政策を決める会合を開き、景気を押し上げるために続けてきた量的緩和を予定どおり、年内で終了することを確認しました。
景気を押し上げるために2015年3月から続けてきた、各国の国債などを買い入れて市場に大量の資金を供給する量的緩和について、予定どおり金融緩和の縮小が一段と進むことになります。
主要な政策金利は0%に、金融機関から資金を預かる際の金利をマイナス0.4%に、それぞれ据え置くことを決めました。
ユーロ圏ではことし7月から9月のGDP伸び率がおよそ4年ぶりの低い水準にとどまっていて、景気の減速傾向が強まっています。
今回の理事会で欧州中央銀行は少なくとも来年の夏までゼロ金利を続ける方針を改めて確認していますが、利上げについては「今回の理事会で利上げのタイミングの議論はしていない」と述べるにとどまりました。
欧州の長期資金供給オペレーション(Longer-term refinancing operation = LTRO)とは、欧州中央銀行(ECB)が欧州債務問題の対応策の一つとして打ち出した金融政策を指します。通常よりも長い3年を期限とした資金を無制限に欧州各国銀行へ融資することで金融市場の流動性を高めた政策です。
TLTROは期間が数年にわたる低金利の資金供給オペで、最後のオペは2017年3月に実施された。同オペによる供給額は総額7390億ユーロ。一部はすでに償還されているが、残りは順次20年と21年に償還を迎える。
2020年6月から2021年3月の間に、イタリアの銀行は、欧州中央銀行(ECB)から、長期資金供給オペレーション(TLTRO)を通じて借入れた700億ユーロの返済期限を迎える。これは、イタリアの総負債額の7%にも達する規模で、イタリアの銀行はその債務返済のために新たに資金調達を強いられ、資金調達コストが一段と高めることになると観られている。
イタリアの銀行が保有するイタリア国債の規模は、平均で自己資本(Tier1ベース)の70%近くに達している。イタリアの『持病』とも言える政治・経済情勢の不透明感からイタリアの国債利回りがさらに上昇(価格が下落)すれば、イタリアの銀行に損失が生じ、自己資本比率は低下していく。自己資本比率を高めるために増資を行うと、イタリアの銀行の株価はさらに下がってしまうだろう。それを回避しつつ自己資本比率を高めるためには、貸出を中心にリスク資産の削減を進めることが必要となるが、それはイタリア経済を一段と悪化させ、再びイタリアの銀行の財務状況を悪化させてしまう可能性がある。イタリアの銀行問題は、容易には出口を見いだせない、厳しい状況に陥っている。
その他、ギリシャも返済苦を迎える。
2020年問題、ニ-マルショックの伏線は数々あり、世界各国のリスクが現在は『点』で治まっているものの、いずれ『点』と『点』が結ばれる『線』となって危機的状況を示すものと観ています。