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米景気は19年4月にピークアウト?

ロイターコラム
米金融当局者は景気見通しに慎重な姿勢を見せ始め、市場も利上げ期待を後退させている。「ねじれ議会」となった中間選挙後のタイミングで米株や長期金利が下げに転じたことから、トランプ政権の政策遂行能力が低下することへの懸念も一因なのかもしれない。
米国の経済成長は、すでに鈍化している。実質国内総生産(GDP)の伸び率は、2018年4―6月期のプラス4.2%(前期比年率)から、7―9月期はプラス3.5%に低下した。高水準の成長率だが、押し上げたのは在庫の増加で、その寄与度はプラス2.07%。在庫増減を除く最終需要の伸び率はプラス1.4%にとどまる。4―6月期の最終需要がプラス5.4%の高成長だった反動もあるが、7・四半期ぶりの低成長となった。
最終需要が減速した原因は、輸出から輸入を差し引いた純輸出と設備投資、そして住宅投資にある。
GDP成長率への寄与度が最も低下したのは、純輸出だ。需要減速を反映して世界的に製造業購買担当者景気指数(PMI)が低下しているうえ、ドル実効為替レートが上昇傾向にあり、米国の輸出環境が厳しいからだ。米製造業の輸出受注指数は10月、大幅に低下した。
FRBのパウエル議長は、世界経済に減速の兆しがあることを懸念材料として挙げている。米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明は、設備投資の判断は下方修正された。
米国企業の雇用意欲が減退していることをうかがわせる動きもある。毎週発表される新規失業保険申請件数は、9月半ばにかけて20万2000人まで減少したが、その後は22万4000人に増加している。5月以来の高水準だ。
転職のために自発的に離職し、失業保険申請が増えるケースもあるので、一概に雇用鈍化の兆しとは言い切れない。だが、雇用者数の比重が大きい非製造業の景況指数や雇用指数が、9月をピークに悪化に転じつつあることも合わせて考えると、やはり雇用鈍化の兆しである可能性が高い。
09年6月を底に始まった米景気の拡大は、18年11月で113カ月が経過した。19年6月まで拡大が続くと、過去最長だった1991年3月から01年3月までの120カ月に並ぶ。当時は景気の山が01年3月、その7カ月前の00年8月にS&P500がピークアウトした。
18年9月にS&P500がピークアウトしていたとするなら、米景気は19年4月にピークアウトするかもしれない。米経済減速によるリスクオフや金利の低下で、ドル円は上昇力を失う可能性がある。
(亀岡裕次氏 大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト