fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

ニ-マルショックを見据えて

運用資産1500億ドル(約16兆円)ともいわれ、世界一の資金運用を行う巨大ヘッジファンド、ブリッジウォーター(Bridgewater)のレイ・ダリオ氏

『金融政策は通常、実体経済を冷やすよりも先に金融市場を冷やしてしまう。だから中央銀行が「経済が減速しない限り金融引き締めを継続する」という姿勢を示し続ける限り、どうあっても金融市場の暴落が先に起きてしまう』
『世界的に大規模な金融緩和が行われ、米国では法人減税も行われ、あらゆる景気刺激が行われた結果、われわれは今ビジネスサイクルの後期にいる。つまり、資産価格は既に限界まで好材料を織り込んでいる』

彼の導き出した答えが、『早ければ2019年から2020年頃に景気後退に突入する可能性が高い』というものです。
言い換えれば、『早ければ2019年から2020年頃に資産価格下落(暴落)に突入する可能性が高い』ということになる。

★残りわずかな資産価格上昇に賭けるか、下げシロの大きい資産価格下落に賭けるか
★今日明日のわずかなリタ-ンを望むか、1~2年先を見越した大きなリタ-ンを望むか

この問いに対して彼の答えは、ショ-ト戦略、つまり1~2年先を見越した大きなリタ-ンを望める資産価格の下落を予想しています。
その彼が、次の景気後退期にドル危機が起こり得ると予想しています。このまま政策を誤れば、ドル相場は簡単に30%下げ得るという。
『今回の景気後退は2008年とはかなり違ってくるだろう。・・・前回のような急激・過酷なものになるのではなく、だらだら続くようなものになるだろう。・・・債務危機というよりはドル危機になるだろう』
とドル危機を予想する。
ダリオ氏がドル危機を予想するのは、今後、米国債の需給が急激に悪化する可能性が高いからで、トランプ政権・共和党の減税・歳出拡大によって国債発行は今後高止まりする。一方、FRBはバランスシート正常化を続け、今まで米国債の最大の買い手であったFRBには期待できない。
そのため、外国人にもっと米国債を買ってもらいたいところだが、ダリオ氏は過度な金利上昇を防ぐほどには外国人投資家はついてこないと予想する。ドル安による為替損のリスクを恐れて、手を出せなくなると観ている。
結局、最期はFRBの出番となり、通貨ドルを増発し、国債を買い入れマネタイゼーションを行うことになり、それがドルの減価を引き起こし得るという。
『その期間だけでも簡単に30%の減価ぐらい起こり得る』と想定している。
投資家へのアドバイスを求められると、ダリオ氏は、『投資家にはマーケット・タイミングを狙うアクティブ投資を行うかどうかの選択肢がある。しかし、これはほとんどの人がうまくいかない。・・・大切なことはポートフォリオをバランスするやり方を覚えることだ』と。

う~ん、ドル危機・・・。私fxdondonなど、ダリオ氏と比べれば凡人のため、ドル危機は想定外です。ドル下落は想定できても、ドル危機・ドル暴落と呼べるほどの事態は想定できません。まぁ、ダリオ氏も『起こり得る』と言葉を濁していますが。
私fxdondonが過去に何度か書きましたが、前回の金融経済危機は富士山から崖を見た、滑り落ちたもので、次回はエベレスト山から崖を見る、滑り落ちるものと例えました。
その理由は、世界的な金融緩和とかつてない債務膨張による資産バブルが崩れるという、いわば量の問題。そして、次回は経済大国1位の米国と2位の中国という巨頭2ヶ国が崩れる意味で、いわば質の問題ですね。
で、この米中共倒れとなる次回のバブル経済崩壊が、為替相場にどう影響してくるか?
2大経済大国総崩れとなれば、日本円は前回の金融バブル崩壊時よりもリスク回避で逃げ込んでくる量がケタはずれに多くなりそうに思え、その意味で対円では『簡単に30%のドル下落は起こり得る』と同意しますし、日米インフレ格差が実質年に1%としても10年経過で10%ほどドルは対円で減価していますので、一時的に1ドル60円台をつけても不思議には思えません。
しかし、他の通貨に対してドル危機と呼べるようなドル安になるかというと、個人的にはそうは思えません。(ダリオさんに盾突こうなんて100年早いか? 苦笑)
ポイントは、米国は崩れるが、中国も崩れるという相関関係です。米国だけが崩れるというのならドル危機も考えられますが、次回は中国も大きく崩れるというところをダリオさんは捉えていない考えのようです。
中国が大きく崩れ出す時、初動はドル安でしょう。巨額ドル建て債務の返済や資本流出に対して必要となるドルは、現在保有のドルを充てればそれで済みます。しかし、保有するドルが底をつけばドル買いの必要に迫られます。相場は一変してドル高です。FRBによるマネタイゼーションでも、ドル危機といわれるようなドルのダブつきは起きないものと考えています。
さらに、米中2大経済大国が崩れれば、世界諸国も無縁ではいられません。前回の金融危機時に金融市場で観られた『ドルが足りない』『ドル不足』すらあるように思います。
『腐っても鯛』ならぬ『腐ってもドル』、まだまだドルに代わる信用を持つ通貨は見当たりません。