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米国債危機が訪れるのかどうか

FRB保有資産は金融危機・景気後退前の07─09年は9000億ドル程度に過ぎなかったが、その後、危機対策として約3兆5000億ドルの国債モーゲージ担保証券(MBS)を買い入れたため、最大で4兆4000億ドルを超えた。

FRBのバランスシ-ト資産額推移
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米国経済が金融緩和の支援が無くてもうまく回り出したとの判断以降、FRB米国債の満期(償還)ととに再投資を行わず、保有資産の圧縮を進めている。
FRB議長・パウエル氏は、最終的には保有資産を2兆4000億─2兆9000億ドルに縮小すると言及しているので、少なくともあと1兆ドルの米国債を手放す計画でいる。


直近の資産額推移
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FRB米国債売却を進め出してからの資産額推移
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米国債最大の買い手だったFRB米国債の売り手に回ったということは、FRB以外の誰かが米国債を買い上げないと、米国債は利回りの上昇・債券価格下落に見舞われる。
今まで中国が米国債の買い手であったわけですが、中国の9月末時点の米国債保有残高は4カ月連続で減少し、中国の米国債保有は1兆1500億ドル(約130兆円)と減少し、すっかり米国債の売り手へと変わってしまいました。これは中国の経常収支赤字が示すように、稼いで受け取るドルよりも支払うドルが上回っているためで、米国による対中制裁は米国債市場の資金フロ-を変えることにつながっています。
これから、中国が米国債利回りの変動要因となると予見したがい部分が多く、仮に中国が保有する米国債を急激に減らすと思わぬ金利急騰を誘発しかねない。投機筋は特に敏感です。
ところが、FRBと中国が米国債売却に動いても、米財務省米国債発行を減らせない。トランプ経済政策の大型減税・インフラ投資は、財源を国債発行に依存するしかないため米国債発行残高は増加の一途です。
この悪循環こそが、先にご紹介した世界最大のヘッジファンド・ブリッジウォーター(Bridgewater)の米国債ショ-ト戦略につながっています。手口については未公表のため正確な数値はわかりませんが、『ドル危機』=『米国債危機』ということですから、中国経済危機が今後強まるに従って中国は枯渇するドルを保有米国債の売却によって補填していくしかないことはすでにお見通しだと思います。
そこで、カネ余り日本の機関投資家米国債をどこまで買い支えられるのかも注目です。金融危機が始まった時期から、そろそろ10年が経ちます。当時1ドル100円を割る水準で買った米国債10年物は運用益となって償還されますが、今の1ドル110円を超える水準で引き続き米国債を買う勇気があるのかどうか。FRBと中国の米国債売り、新たに増発される米国債をジャパンマネ-がどこまで運用損リスク覚悟で買い手になるのか、私fxdondonも興味津々です。
補足事項として、米国経済が景気後退入りの際には財政赤字の急増を理由に、格付け会社ソブリン格付けを格下げするのは必至です。それでも、AAA(トリプルA)をAA+に1段階の格下げでしょうから、格下げの影響は限定的だと思われます。ただ、それ以上の格下げとなると、さすがに市場もサプライズと受け留めるでしょうが。
果たして、世界最大のヘッジファンド・ブリッジウォーター(Bridgewater)の思惑通り、米国債が暴落する時期が訪れるのでしょうか?