fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

数年先の米ドル安を語る著名投資家たち

ユ-ロパシフィックキャピタル(Euro Pacific Capital)のピーター・シフ氏

財政拡大が好きな大統領と民主党が、米国の財政インフレを悪化させると予想している。
民主党が下院を獲ったことで、財政支出ははるかに増え、低所得層・中所得層をターゲットとした減税が行われるだろう。結果、以前のものよりインフレ的となり、財政へのインパクトも大きくなるだろう」
同氏は、すでに米経済・市場はバブルであり、これから崩壊がやってくるという。
次の不況はリーマン危機よりも悪くなるという。
「次の暴落幅は50%に達するかもしれない。平均の幅はともかく、たくさんの株銘柄が50%をはるかに超える下落に見舞われるだろう。どうなるかは、FRB量的緩和でどれだけのインフレを解き放ってしまったかによるところが大きい。FRBは金融緩和で株価下落を止めることはできるが、食品・エネルギー・生活必需品などの価格上昇を止めることはできない」
シフ氏によれば、米国株が将来名目リターンを上げたとしてもインフレに勝てないという。米国株保有者はドル価格が上昇しても、インフレにより購買力を失い貧しくなるという。
シフ氏によれば、度重なる米国のバブルはFRBが生み出したものだという。バブルを生み出し、バブルを破裂させ、バブル後の後始末をする。ドットコム・バブル、住宅バブルで見られた構図そのもので、FRBはこの独り芝居を続けているという。
FRBはおそらく景気後退、株式の弱気相場入り、不動産価格崩壊が目に見えるまで利上げを継続するだろう。
そうなるといつものことをやりだす。利下げし、QE4を始める。QEの次のラウンドで起こるのはドルの崩壊であり、上がるのは消費者物価だけだ」
シフ氏は、来たるドル崩壊に備えて、インフレに強い金融商品を顧客に提供するという。

JPモルガンの資産運用部門のストラテジストDavid Kelly氏

ケリー氏は、ドル高は世界経済にとって望ましくないという。
ドル高は新興国経済に打撃を与え、米国の貿易赤字をさらに悪化させる。
貿易の不均衡が米国発の貿易摩擦を引き起こしたのだとすれば、ドル高はそれを助長する要因に他ならない。
「ドル高が力を得たのは、財政刺激策によって系に糖分が注入されたためだ。これにより米経済は世界経済を大きく引き離した。大規模な財政刺激策が需要を増やすのは当たり前のことだ」
これがすでに拡大していた米景気をさらに吹かした。
しかし、こうしたブームは刺激策をやり続けない限りいつか終わる。
これを市場が意識した時、ドル安が進む。
だから、来年は世界経済が米経済に追いつく番で、今起こりつつある。
「今後5年間で言うなら、すべてのファンダメンタルズから言って、ドルは現在より下げているだろう」

AGビセット・アソシエーツのウルフ・リンダール最高経営責任者(CEO)
2024年までにドルがユーロに対し約40%下落すると予想している。
理由は単純。ドルは1970年代以降、下落と上昇を15年周期で繰り返しており、今やそれが再現されつつあるとみる。
ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツのレイ・ダリオ氏も9月にドル急落を見通している。
リンダール氏は、「ドルの大幅な下落を見込んでいる。全ての金融市場に大きな影響が及ぶ」だろうとし、株式相場の急落と商品価格の上昇を引き起こす可能性があるとの見方を示した。
米国の経済成長率が世界の他地域を上回り、米金融当局が利上げを続けていることから、ドルは買いを集め、今年に入り約2%上昇している。
リンダール氏は景気循環など他のサイクルは認めているが、「投資家はドル相場の15年サイクルについて知らされると、まず懐疑的な反応を示し、存在を否定しようとする。この思考法や株価調整の可能性を受け入れないとなると、ドル反転に適切なヘッジをしていない米国外の投資家にとっては、過去45年間で最も危険の高い投資環境だ」と指摘した。
同氏は、24年までに1ユーロ=2ドルに、対円では1ドル=75円へと下げが進むと見通す。


これらはすべて数年先のことを述べているだけで、予見し得るブレグジットショックやニ-マルショックなどの1~2年先の世界における危機的状況をすっ飛ばしています。
5年先ともなれば、中国発のチャイナショックも引き起こされていると推測しますが、中国のつくりあげた人類誕生以来、史上最大のバブル経済の崩壊で為替相場はどう動くのでしょうか?人民元の暴落は間違いないでしょうが、要は何の通貨に対して元が暴落するのかということです。トルコリラに対して?オ-ストラリアドルに対して?違うでしょう。やはり、米ドルに対してです。さらに言えば、そういった危機的状況になれば、資金の実需的には米ドル需要が最も増えますが、投機的には日本円への需要が最も増えます。
通貨価値は、投機的価値と実質価値(本来価値)で構成されていますが、現在のようなまだ平和な世の中では投機的価値が幅をきかせて日本円は低い(安い)のですが、危機的状況を迎えるとその反対の動きになることは言うまでもありません。
記事最後に、「24年までに1ユーロ=2ドル、対円では1ドル=75円へと下げが進む」とありますが、この同時進行はあり得ないでしょう。ドル/円が75円の時にユ-ロ/円は150円ということになります。個人的には、雑種ユ-ロへの過大評価と思えます。