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本邦機関投資家 外債から円債回帰へ

[東京 26日 ロイター] - 国内主要生損保の2018年度下期一般勘定運用計画がほぼ出そろった。目立ったのは、一部に国内回帰の動きが出てきたことだ。超長期国債の利回りは積極的運用のめどとされる1%に届いていないものの、日銀の政策修正もあって若干ながら上昇してきた。
ふ為替コストが高いヘッジ付米国債での運用が難しいなか、消去法的な投資が増え始めている。

国内の運用難の環境に変わりはない。
しかしながら、あくまで1%は「積極的な」運用のめど。消去法的な運用であれば、金利が0.9%台に乗せてきた円建て超長期債は、それなりに魅力があるようだ。
日本生命は上期、新規資金のうち20─30年債を含む日本国債の残高が、約7000億円増加した。「ヘッジ付き外債との相対感で配分を調整していきたい」(財務企画部長の秋山直紀氏)としている。
明治安田生命の円債投資は、償還が多く通年ではやや減少の計画だが、10月以降は超長期債の購入を進めている。「特に1%は意識していない。何に投資するのがベストかを考えて運用していく」(執行役副社長の山下敏彦氏)という。
富国生命保険・財務企画部長の渡部毅彦氏は、貿易摩擦や中国の景気減速リスクなど海外情勢の不透明感が強いとしたうえで、「利回りは依然として十分ではないが、消去法的に資金を置いておくことも考えないといけないかもしれない」と話している。
日本証券業協会のデータによると、国内生損保は4月以降、6カ月連続で超長期債を買い越し。累計で1兆8337億円(前年比47.9%増)に達している。
第一生命は30%年債の利回りが1%を超えたからといって、それだけで積極的な買いに転じることはないとしている。ヘッジ付外債との比較感で買いに動く可能性はあるとしながらも「(保険商品の)負債にマッチさせる」(運用企画部長の重本和之氏)のが基本だとする。
三井生命も円債投資は下期横ばいを見込む。日銀の政策修正で円債金利は若干上昇したものの、前川等執行役員運用統括部長は「運用方針に影響を与えるほどのインパクトはない」と指摘。その上で20年物、30年物のゾーンで金利が「1%くらいあればありがたい」と述べる。
かんぽ生命は下期、新規資金1.5兆円弱のうち、半分超を円金利資産に投資する方針で、「30年債の1%程度は、負債コストを踏まえて買える水準」(運用企画部長の浅井重明氏)であるものの、過度に投資すれば、金利を押し下げる要因になりかねないため、慎重に投資のタイミングを見極める考えだ。

消去法的にせよ金利水準はまだ不十分な超長期債を積み増す可能性があるのは、円債の代替商品であった為替ヘッジ付き米国債での運用が難しくなっているからだ。
米国の10年国債利回りは一時3.2%台まで上昇したが、同時に為替ヘッジコストも年末越え需要が加わり足元は3%水準まで上昇している。トータルではほとんどリターンが出ない。
このため、為替ヘッジ付の外債を買うにしても、ヘッジコストが低い欧州債やオーストラリア債、もしくは米国債よりも利回りが高い米社債などが下期も中心となる見通しだ。
一方、為替をヘッジしないオープン外債は引き続き増加傾向にある。ヘッジコストさえなければ、10年米国債利回りの3%台は魅力的。主要国で米国債を上回るのはイタリア債ぐらいであり、いざとなれば売ることが容易であるという流動性の面も申し分ない。
しかし、オープン外債投資は為替(円高)リスクを抱え込むことになる。日米金利差などから極端な円高にはならないという各社ほぼ共通の相場見通しが投資を促しているが相場は水物。クレジット(社債)投資などの信用リスクを含め、リスクを抱えながら運用難の状況を乗り切ろうとする国内生損保の姿は下期も続きそうだ。


まぁ、投機的には米国利上げによるドル買い円売りが見られそうなものの、機関投資家のジャパンマネーは円安圧力よりも円高圧力が高まりそうだということか。
日米、日欧インフレ格差から今後も円高圧力に変わりがなく、金利目当ての円売りはインフレによる通貨価値減価によって清算されていくのでしょう。