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英国のEU離脱 専門家たちの未来予想図

NHK
イギリスEU離脱へ 専門家たちの“未来予想図”とは
2020年1月31日 6時14分

イギリスは、47年間にわたって加盟してきたEU=ヨーロッパ連合から、日本時間の1日午前8時に離脱します。専門家からは間隙(かんげき)を突く形で、ロシアや中国が影響力を強める可能性があるという指摘や、EUの外交や安全保障にとって大きなマイナスだと指摘が出ています。
EU弱体化 ロシアや中国などが影響力強める可能性
セルビアモンテネグロなどヨーロッパ南東部に位置する旧共産圏の西バルカン地域の国々は、EU加盟を目指してEU側との加盟交渉を行っていますが、ここ数年はフランスがこれ以上のEU拡大に慎重な姿勢を見せていることなどから交渉が停滞しています。

オーストリアグラーツ大学、南東欧研究センターのフロリアン・ビーバー教授は、NHKのインタビューに対して、「EUの拡大について、これまではイギリスがこうした国々のEU加盟を強く支持してきたが、そのイギリスがもはやEUにはいなくなる」と指摘し、イギリスのEU離脱によって加盟交渉が難しくなるという認識を示しました。

そのうえでビーバー教授は、ヨーロッパの経済危機や中東からの移民難民問題、そして今回のイギリスの離脱などで、EUの弱体化が進んでいると指摘したうえで「ヨーロッパに空白が生じており、その間隙をつく形で、ロシアや中国、トルコなどがより活発に活動している」と述べ、EUやNATO北大西洋条約機構のこれ以上の拡大を警戒するロシアや、一帯一路を進める中国が、この地域への影響力を強める可能性があるとしています。
「交渉次第でヨーロッパの分裂招く事態も」
イギリスのEUからの離脱について、フランスのミッテラン大統領の側近で、次のシラク大統領のもとで外相も務めたユベール・ベドリヌさんは、「離脱はイギリスとEUの双方にとって不都合な出来事だ。イギリスの市民が感じていた、EUの官僚主義への批判にEUが少しでも耳を傾けていれば離脱は防げたはずだ」と話し、EU側の体質にも問題があったと指摘しました。

また、来月から始まるイギリスとEUの自由貿易協定の締結に向けた交渉について「イギリスはEUの規則などかまわず、最大限の利益を得ようと交渉に臨むだろう。とても複雑で骨の折れる協議になるのは間違いなく、交渉の行方次第ではヨーロッパの分裂を招く事態もありうる」と述べ、懸念を示しました。

そのうえで「今後、イギリスが経済的にも政治的にも軌道に乗れば、ほかのヨーロッパの国々が『離脱は悪いことではなかった。自分たちも同じ道を選べるかもしれない』と考え始めるだろう」と述べ、貿易交渉でイギリスが多くの利益を得る結果になれば、離脱の道を探る国が新たに出現し、EUの弱体化につながりかねないという考えを示しました。
英ジョンソン首相が否定の「移行期間」延長が必要に
ヨーロッパ政策研究センターのカレル・ラノー氏は「EUにとって40年以上にわたって加盟していたイギリスが離脱するのは大きな損失だ。イギリスは大国であり、安全保障などのため必要な存在だ」と述べ、イギリスの離脱はEUの外交や安全保障にとって大きなマイナスだと指摘しました。

一方で「EUがイギリスを必要とする以上に、イギリスはEUを必要とする。イギリスは最初のうちは強気だろうが、そのうちトーンダウンするだろう。結局はEUへのアクセスが必要だからだ」と述べ、離脱によるデメリットはイギリスのほうが大きいと指摘しました。

さらに「イギリスは柔軟な対応をしたほうがよい。かつてイギリスが手にしていたものと同じレベルを維持したいという国民や経済界の圧力が高まるからだ」と述べ、離脱後、イギリス政府への不満が高まる可能性があると指摘しました。

そして将来の関係をめぐる交渉については「EUは人やモノの移動の自由を相互に確保しているノルウェーアイスランド、スイスなどと同じようにイギリスとも特別な関係を結べるだろう。ただ、そのための交渉を1年で終わらせるのは無理で、少なくとも2年か3年はかかるだろう」と述べ、イギリスのジョンソン首相が否定している「移行期間」の延長が必要になるとの認識を示しました。