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ドイツがどこまで堕ちるのか?

ユーロ圏4~6月期実質GDP成長率(改定値)は速報値と変わらない前期比プラス0.2%であったが、このタイミングで公表されたドイツの成長率が-0.1%と水面下に沈んだ。
ドイツは昨年7~9月期にも前期比-0.1%と14四半期ぶりのマイナス成長に落ち込んでおり、続く10~12月期はゼロ成長だった。過去4四半期の平均成長率もゼロであり、直近1年間のユーロ圏もこの動きに引きずられる格好となっている。
4~6月期にイタリアはゼロ成長、フランスも4四半期ぶりの低成長(前期比+0.2%)と冴えず、主要国が揃って精彩を欠いた。目下、ECBの追加利下げが期待されるのも当然だろう。ただし、ユーロ圏の失速は過去1年の話であり、にもかかわらず正常化プロセスに固執していた時期があったことが解せない。
こうした中、製造業のマインドは悲惨な状況に陥っており、製造業PMI(購買担当者景況指数)の動きなどを見ると、とりわけドイツの落ち込み方が苛烈である。中国経済の減速に引きずられた輸出の落ち込みが顕著である。しかし、ドイツの域外輸出について中国・香港向けの勢いが落ちているのは確かだが、ロシアや中東アフリカ地域を含む「その他」向けなども減速している。

ドイツ連邦銀行の発表した月報の中で、ドイツ経済は第3四半期(7~9月)にマイナス成長となり、今後リセッション(景気後退)に陥る可能性があるとの見方を示した。輸出の落ち込みや製造業生産の低迷などが押し下げ要因になるとしている。
ドイツの第2四半期の国内総生産(GDP)は、米中貿易紛争に絡み輸出向け製造業部門が不振で、第1四半期の+0.4%増からマイナスに転落した。連銀は、ドイツ経済の低迷は第3四半期も続く上、下落基調で推移する可能性もあると指摘。製造関連の企業の間で景況感が大きく落ち込んでいるほか、受注が大幅に減っている。
ドイツ経済は、自動車業界の伸び悩み、輸出に依存する製造業に影響を及ぼす貿易摩擦や英国のEU離脱を巡る先行き不透明感により、逆風にさらされている。第2四半期のGDPは家計最終消費支出と政府最終消費支出が拡大したことが一部補ったものの、連銀はこの効果がいつまで続くかはわからないとしている。
また、経済の成長鈍化は雇用にも影響を及ぼし始めており、第2四半期の雇用の伸びと賃金上昇はいずれも大きく減速したと分析。サービス業でも景況感が下がった一方、建設業の好調ぶりは今後も続き、経済を下支えするとみている。
ドイツ銀行はこの日、今年のドイツのGDP成長率が0.3%、来年は0.7%にとどまるとの予測を発表。いずれも前回見通しから下方修正した。
ショルツ財務相は18日、2008~2009年の世界金融危機時には、その対応に500億ユーロが投じられたと説明した上で、将来的に同様の金融危機が訪れた場合にも、ドイツの財政基盤はそれに対応できる堅強さがあると強調した。

ブル-ムバ-グ
ドイツ経済がリセッション(景気後退)入りした場合、政府は財政赤字覚悟で対応する用意だと、独誌シュピーゲルが報じた。
それによれば、メルケル首相とショルツ財務相は景気低迷により税収が落ち込んだ場合、その穴埋めとして債務を増やすこともいとわない考えだ。同誌は首相府や財務省の関係者の話として伝えた。関係者らの名前は明らかにしていない。
国内総生産(GDP)がプラス成長の場合に認められる純債務増加は、GDPの0.35%以下とドイツ憲法で定められている。リセッション時にはこの規定は緩められ、それよりやや大きな債務増加が容認される。