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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

トランプ政権は通貨戦争を引き起こすのかどうか

意図的な通貨安を禁じる為替条項を突きつけているトランプ政権に対して、財務省・日銀は今後ドル買い円売り介入を実施できません。口先介入ですら、難しい状況になってきます。
現在、トランプさんの通貨安攻撃の対象は人民元とユ-ロに向けられていますが、現在でも日本円が超円安水準にあり、いつ日本円へ矛先が変わるかわかりません。
そもそも、1871年明治4年)にドルと円の取引が開始された時は、1ドル1円だったわけで、第二次世界対戦で敗戦してハイパ-インフレともいえる状況に陥り日本円は大暴落し、1ドル360円と日本円の価値は360分の1にまで減価しました。
その後、日本は高度経済成長を遂げ、プラザ合意など様々な要因があるものの、1995年に1ドル80円まで回復しました。
その中で特筆すべきことは、戦後ボロボロになった日本が世界最大の対外債権国、純資産国にまで成長したことでしょう。奇跡とも言える復興ぶりです。
2010年を前後して世界は金融危機に見舞われ、1ドル75円台を目にしました。多くの人はそれを超円高と呼びますが、それは戦後を基準として観るから円高だと映りますが、ドル/円の取引が開始された当初1ドル1円だったことを踏まえればそれでも超円安であることになります。
なぜ、超円安相場なのか?それは上記の通り、日本が世界最大の債権保有国であるためです。債権とは現金化されていない貸付金、未回収金と言い換えられますが、日本円へ替えられる外貨建て資産を増やす一方で回収しないことが大きな要因です。
少子高齢化新興国の台頭で日本はダメになる、そんなことがよく言われます。実際にそうかと言えば違いますが、仮に日本がボロボロになるという前提で話を進めましょうか。
日本がボロボロになる、なりつつある、なったという過程の中で、だから円安になる、なりつつある、なった、とはなりません。逆です。だから円高になる、なりつつある、なった、となります。
現在、世界最大の対外資産国がボロボロになっていく過程では、対外資産の取り崩し、現金回収が進められるので外貨売り円買いが進みます。資産から負債を差し引いた純資産が目減りして純負債へと変わったあたりから、ようやく日本円は日本のファンダメンタルズに沿った動きになります。純資産から純負債へ変わる分岐点あたりで1ドル何円になっているかはわかりません。1ドル50円なのか30円なのか誰にもわかりませんが、売りつくせる対外資産が無くなってから、ようやく日本円が実体経済の実力を反映した為替相場に戻ります。
話を戻しますが、米国のトランプ政権が為替レ-ト水準をフェアなものにしたいと動き出すならば、日本円は少なくとも20円以上の円高が求められることになるでしょう。
トランプさんが、通貨戦争をいつ引き起こすのか、そこにも注目です。

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