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『経済が必要としない利下げ』?

バロンズ誌
足元で市場関係者は米国の利下げを織り込み、7月に踏み切るとの見方が有力となっている。
利下げ観測の高まりに反し、米株市場は10年目の強気相場を謳歌している。米経済といえば堅調そのもので、失業率は少なくとも半世紀ぶりの低水準だ。悪材料としては、インフレ目標を下回る物価だろう。
Fedは、金融政策をめぐり経済指標次第と強調する。3月FOMCで、2019年の実質GDP成長率見通しは1.9~2.2%増と、長期見通しの1.8~2.0%増をわずかに上回るレンジだったことを踏まえると、足元の米経済はFedの予想を上回る成長を遂げつつあると言えるのではないか。物価自体も刈込平均(CPIを構成する品目の価格変動で、1年前と比較し上下の変動率が高い品目を10%ずつ除く手法)は、インフレ目標値2%に近い。JPモルガンクリーブランド地区連銀も、同様の見解を展開している。
一方で、米景気循環研究所のインフレ見通し指標(U.S. Future Inflation Gauge)は、2018年12月まで、計9回の利上げが過度であった可能性を示唆する。
米債市場はFedの利下げを織り込み、3ヵ月物米財務省短期証券(Tビル)の利回りは米10年債利回りを5週間上回り、景気後退のサインを点灯させている。もっとも、債券利回りの低下は世界的なもので、貿易摩擦など不確実性などFedが制御できる範囲を超えたところで発生しているといって過言ではない。確かに、ドイツ銀行によれば独10年債利回りを含め世界で12兆ドルの債券がマイナス金利にあり、米債に資金が流入してもおかしくないだろう。
金融市場で、Fedが利下げ観測を叶えるとの見方が有力だ。VIX指数先物でも同様の動きが現れ、JPモルガン・チェースのグローバル・マーケット・ストラテジー・グループによれば、ショート・ポジションが積み上がりつつあるという。VIX指数先物で同様の事態が最後に発生したのは2018年1~9月で、当時は米株に強気だったと同時に低ボラティリティが継続すると考えられていた。結果的には、2018年10月以降の調整相場を生んだわけだが、米中通商協議や大阪で開催されるG20首脳会議で物別れとなれば、再びVIX先物指数のポジションが相場変動の引き金を引きかねない。