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「年初の円高」は繰り返すか?

ロイターコラム:「年初の円高」は繰り返すか

内田稔 三菱UFJ銀行 チーフアナリスト
2018年はドル円の値幅が9円99銭にとどまり、1973年に変動相場制へ移行して以降、過去最小の年間値幅記録を更新する見込みだ。
リスク回避局面におけるドル安/円高が限定的だったこともあり、市場での円高警戒も和らいでいる。株式市場の下落基調が続く足元も、110円近辺で下げ止まるとの漠然とした期待が強いようだ。
しかし、ドル円の動きと日米金利差は全くと言っていいほど相関を失っており、金利差拡大が円安につながるという羅針盤は全く当てにならない。今年の値幅が狭いのも、ドルに一歩も譲らず円が強かったからにほかならない。円が年初来、対ドルで上昇した唯一の通貨であることはあまり報じられていない。
その中で注目すべきは、過去3年間、ドル円が第1・四半期に大幅に下落するパターンを繰り返していることだ。16年第1・四半期の安値は110円67銭で、前四半期の高値123円76銭から大きく下落し、同じく17年第1・四半期も安値が110円11銭と前四半期の高値118円66銭から落ち込み、18年の第1・四半期の安値も104円56銭と、前期の高値114円73銭から大きく値を下げている。
前年第・4四半期の高値と翌年第1・四半期の安値の落差は、平均すると10円60銭。18年第4・四半期の高値はこれまでのところ114円55銭(10月14日)であり、もし季節性が繰り返されれば、ドル円は19年3月末までに103円95銭へ続落する計算になる。
実際にドル安/円高がそこまで進むかどうかは別として、重要なのは、こうした季節性が単なる偶然なのか、それとも何らかの因果関係があるのかどうかだ。筆者は以下の通り、因果関係はあるとみており、19年も第1・四半期のドル円続落に警戒が必要と考える。
ドルに対する「特需」は11月下旬の米感謝祭前後にピークを迎え、ドル高は次第に和らいでいく。その後は日本勢が会計年度末の3月に向け、配当金などの円転需要を高めていく。年末まで上昇した反動と相まって、ドル円には一転して強い下落圧力が加わる。
19年第1・四半期はこうした季節性に加え、米国が日本との通商協議に強硬な姿勢で臨んでくる可能性にも要注意だ。米通商代表部(USTR)は21日、日本に対する22の要求項目を発表した。中国、メキシコに次ぐ第3位の貿易赤字相手国である日本に対し、米国は物品貿易だけでなく、サービス貿易と為替も含む幅広い分野を議論しようと考えているようだ。約7兆円の対日貿易赤字(17年実績)の削減に向け、2020年の再選を狙うトランプ大統領の鼻息は荒そうだ。
このうち為替は、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国、メキシコ、カナダの新たな協定同様、為替操作を禁じる為替条項が協定本体に盛り込まれる可能性が高い。日本は12年以降、為替介入を行っておらず、影響は限られるが、円高局面で日本の通貨政策の機動性を縛る懸念があり、留意が必要だ。
一方、円の名目実効相場と、名目金利からインフレ期待を差し引いた日本の実質金利は、一定の相関を保っている。もし対米自動車輸出の減少が現実となれば、世界的な景気減速や消費増税後の需要減に対する懸念と相まって、日本のインフレ期待が萎縮しかねない。これが実質金利の上昇を通じ、円高圧力となる可能性が高い。米国の利上げ休止観測も強まっており、19年のドルは18年ほど強くなさそうだ。
19年の為替相場はドル安/円高が見込まれる。とりわけ、第1・四半期のドル円続落には最大限の警戒が必要だ。


まぁ、さすがに三菱UFJ銀行のチーフアナリストだけあって、細々とした円高の理由を述べています。
ただ、米国の財政収支については触れていませんね。
細々とした理由は小さな動き、米国の財政収支は大きな動きを示すと、そう助言させていただきます。