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2019年はドル安円高へ?

2019年はドル安円高

内田稔 三菱UFJ銀行 チーフアナリスト

ロイタ-
年初からこれまでの為替市場を振り返ったときに特筆すべきは、ドル高よりもむしろ円高だろう。ドル円の値動きが緩慢なことと、ドルの強さに隠れて目立っていないが、円の名目実効相場(国際決済銀行調べ)は、年初から約6%上昇している。
日本円の上昇要因として挙がるのは、せいぜい「リスク回避の円買い」だ。しかし、投資家の不安心理の度合いを示すボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)をみれば、2月をピークに少なくとも9月までは低下傾向を辿っていた。したがって、円高の理由を「リスク回避」だけに求めるのは難しい。
その点、従来から筆者は、円相場は名目金利より、実質金利の影響を受けるとの立場だ。
日本の名目金利(10年国債の利回り)は、年初よりも約6ベーシスポイント(bp)上昇。期待インフレ率を示す10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が約20bp低下したため、円の予想実質金利は約26bp上昇した。
この間、米国の実質金利が約58bpと、円よりも上昇しているが、円相場は対外的な金利差より、円の実質金利そのものの動きに影響されやすいと考えられる。日本では好調な企業業績のもとでも結局、賃金や物価の伸びが鈍いことが確認されつつある。物価の伸びが低いままである限り、根強い円高圧力から逃れることは容易ではなさそうだ。
2019年を展望すると、米国経済に関しては、財政出動と金融緩和による景気刺激効果が薄らぐため、成長ペースは鈍化しそうだ。こうした中で、来年の米国の利上げ回数は、市場予想でも2回―3回と定まっていない。しかし、2回の場合でも米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月に示した均衡金利に相当する政策金利の長期見通し(Longer-run)である3%に接近する。つまり、来年は、米国の金融政策の正常化が終盤に差し掛かったとの見方から、次第に利上げ打ち止め感が台頭しそうだ。一方日銀では、金融緩和の副作用に対する警戒から、長期金利に一段と弾力性を持たせる可能性が低くない。金融緩和姿勢を維持しつつ、現実的な政策運営路線へ舵を切りつつあるようだ。
従って、日米間の金融政策の方向性の格差は、2018年をピークに来年は緩やかながらも縮小する可能性が高い。これだけの格差がありながら、年初よりドル安円高になったことを踏まえると、2019年のドル円相場は、ダウンサイド(ドル安円高)リスクの方が高いだろう。無論、本邦からの対外直接投資や証券投資が円高への歯止めとはなろうが、今年3月の安値である104円台半ばがそれ程、遠いわけではないだろう。
第4四半期に続く翌年の第1四半期では、過去6年中、4年でドル安円高が進行している。特に、直近では3年連続してドル安円高だ。仮にアノマリー(合理的に説明できない経験則)通り、年末にかけてドル高円安が進んだ場合でも、反対に来年第1四半期はドル安円高に備える必要がありそうだ。

この人は、「第4四半期に続く翌年の第1四半期では、過去6年中、4年でドル安円高が進行」と経験則を語っていますね。自分も同じことを書こうと思っていたのに(笑)
まぁ、景気の諸サイクルは2020年に向かい下降していることは、このブログで書いてきた通りです。
個人的にリスクオン相場があったとしても短命に終わり、上下動の波を伴いながら円高が進む、そう観ています。