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米国債スティープ化に賭ける投機筋、含み損が急拡大

ロイター
ヘッジファンド米国債イールドカーブのスティープ化に賭ける取引をますます増やしている。カーブは現在フラット化が進んでおり、短期金利長期金利を上回る逆イールド化まであと20bp。ファンドの含み損は急拡大している。
商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ヘッジファンドと投機筋による米10年物国債先物の売り越しは70万0514枚、米2年物国債先物の売り越しは9万7333枚となっている。
10年物と2年物の売り越しの差は2週連続で60万枚を超え、CFTCが1995年に集計を開始して以来で最大。
ちょうど1年前、ヘッジファンドは今とは真逆のポジションをとっていた。2年国債先物を約25万5000枚売り越す半面、10年国債先物は約30万枚買い越し、過去数十年で最大のフラット化取引となっていた。
この取引は結局成功し、今のイールドカーブは2007年以来で最もフラットな状態。ファンドは今後もスティープ化取引を維持する忍耐力があるだろうか。
10年物国債の利回りは3%超え水準を維持できず、現在は2.80─2.85%程度。利上げ見通しに敏感に反応する2年物国債利回りは2.60─2.65%程度で推移している。


イールドカーブは、債券市況を分析するために用いられることが多い指標ですが、これから景気の先行きも予想することが出来るとされています。
イールドカーブがスティープ化は今後景気が拡大して行く可能性を示し、好況時には金利が上がりやすい傾向にあります。イールドカーブのスティープ化は、長期金利の急上昇を意味しますから、暗に将来の景気拡大を意味すると言われます。
一方で、イールドカーブのフラット化は景気後退入りのシグナルとして捉えることができると言われます。景気後退局面とは、供給が需要を上回っている状態、つまりデフレの状態です。このような局面では、政府は金利を低めに誘導し、緩和的な政策を行います。これが、景気後退時に金利が下がるシグナルです。
イールドカーブのフラット化とは、金利が下落傾向であることを意味します。つまり、景気後退の局面入りを示唆する材料にもなるのです。
景気の回復→好況→後退→不況というサイクル(景気循環)と金融政策(金融緩和と金融引き締め)及びイールドカーブの形状変化には密接な関係性があると考えられています。景気や金融政策の動向・予測に基づいて、金利は上昇・低下し、長期金利短期金利の差である長短金利差は拡大・縮小をするため、イールドカーブは投資家が景気や金融政策の先行きをどのように捉えているかを知るために利用することができます。
景気が景気の谷を越えて回復局面に入ったところから考えると、イールドカーブは、通常の景気サイクルの場合、ベア・スティープニング(ベア・スティープ化) → ベア・フラットニング(ベア・フラット化) → ブル・フラットニング(ブル・フラット化) → ブル・スティープイング(ブル・スティープ化) → ベア・スティープニング(ベア・スティープ化) というように循環していきます。
利下げなどの金融緩和によって、景気が谷を越えて回復局面に入ると、金利は上昇を始めます(ベア)。一方で、景気回復によって将来中央銀行によって政策金利が引き上げられる(利上げ)という予想が出てくることから、将来の短期金利の予想を反映する長期金利短期金利よりも大きく上昇します(長短金利差拡大:スティープニング)。
景気回復局面に入ると、金利は全般的に上昇し、イールドカーブの傾きが急になるスティープ化となります(ベア・スティープニング)。
景気回復が軌道に乗り好況(あるいは景気の過熱)の状態になると、中央銀行は利上げ(政策金利の引き上げ)などによって金融引き締めを行うため、金利は全般的に上昇します(ベア)。特に、政策金利の影響を受けやすい短期金利長期金利よりも上昇します(長短金利差縮小:フラットニング)。
好況または景気が過熱化すると、全般的に金利は上昇し、イールドカーブの傾きが緩やかになるフラット化となります(ベア・フラットニング)。
景気がピークアウトし、景気の山を越えて後退局面に入ると、金利は低下に転じます(ブル)。一方で景気後退を受けて将来中央銀行によって政策金利が引き下げられる(利下げ)という予想が出てくるため、将来の短期金利の予想を反映する長期金利短期金利よりも大きく低下します(長短金利差縮小:フラットニング)。
景気後退局面に入ると、金利は全般的に低下し、イールドカーブの傾きが緩やかになるフラット化となります(ブル・フラットニング)。
景気後退によって、不況となると景気の底打ちとなりますが、中央銀行は利下げ(政策金利の引き下げ)などによって金融緩和を行うため、金利は全般的に低下します(ブル)。特に、政策金利の影響を受けやすい短期金利長期金利よりも低下します(長短金利差拡大:スティープニング)。
不況または景気の底打ちが近づくと、全般的に金利は低下し、イールドカーブの傾きが急となるスティープ化となります(ブル・スティープニング)。
まぁ、細かことまで覚える必要はありませんが、長短金利差縮小:フラットニングは過去の経験則からも明らかなように、景気後退のシグナルであるということぐらいは知っておきましょう。

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