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トルコ関連ファンドの全てで分配金の累計額を超える基準価額の下落幅

モーニングスター 
「トルコショック」を受けて、一時的に設定・解約の停止を行うファンドも出始める中、ファンドの投資家にはどの程度の影響を及ぼすだろうか。モーニングスターの調べでは、ファンド名に「トルコ」を含む国内公募追加型株式投信(以下、トルコ関連ファンド)は、2018年7月末時点では本数が52本、純資産額は2,839億円となっている。1兆円を超えていたピーク時の2014年後半と比較すると、トルコリラ関連ファンドの純資産額は7割以上減少しているものの、2015年以降の累計純資金流出入額は1,284億円の流出超過にとどまっており、多くの投資家がトルコリラの下落を見越してうまく売り抜けたというわけではない。
より詳細に月次の純資金流出入額をみると、2018年7月末までの過去36ヵ月間では、前半の18ヵ月間は全ての月で流出超過となる一方で、後半に流出超過となったのは6ヵ月のみと、短期間で投資家のスタンスは大きく変わった。同期間のトルコリラは、前半は1リラ=40円台前半から30円前後へと大きく下落したものの、後半は2018年初頭にかけて30円を挟んでの推移が続いたことがむしろ値ごろ感や買い安心感へと繋がり、2018年2月までは12ヵ月連続の資金流入超過(同期間の累計では1,953億円の流入超過)となった。
その後は8月に入ると、「トルコショック」の影響で13日には一時、15円台まで急落する場面があったものの、8月のトルコ関連ファンドの純資金流出入額は50億円程度の流出超過(13日時点、モーニングスター推計値)にとどまっており、多くの投資家が依然として含み損を抱えたまま保有していると推測される。
モーニングスターのグローバルデータベースで、海外籍のファンドで名称に「トルコ」が含まれるファンドを調べたところ、2018年7月末時点では米国籍は1本もなく、欧州籍でも7本にとどまった(ETF除く、最も古いシェアクラスを対象に集計)。その7本のうち、最も純資産額が多いファンドでも51百万ユーロ(全てのシェアクラスの合計値、約67億円)にとどまり、全てが株式ファンドとなっている。ファンド経由で、トルコだけを取り上げて投資を行うのは世界的にみても極めて少数派で、さらにトルコリラが高金利である側面に注目して単一国として投資を行うのは日本だけだ。
トルコ関連ファンドは、純資産額ベースでは毎月決算型、通貨選択型ファンドの比率がいずれも9割を超えており、多くの投資家は経済成長の恩恵などよりも、トルコリラの高金利を裏付けとした高水準の分配金の受け取りを目的としていたと推測される。しかし、実際には足元のトルコリラの急落を受けて、基準価額の下落幅が分配金の累計額を上回るファンドが続出している。
3年以上の運用実績を有する毎月決算型のトルコ関連ファンド35本の全てで分配金の累計額を超える基準価額の下落幅となった。

トルコ関連ファンドの純資金流出入額とトルコリラの推移(月次)
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