スウェーデン経済深掘り
スウェーデン中央銀行は昨年12月、政策金利を0.25%上げて年マイナス0.25%にすると発表した。堅調な経済環境と物価も上昇軌道に乗ったと判断し、米連邦準備理事会(FRB)の利上げや量的緩和を終了する欧州中央銀行(ECB)と同様に、金融政策の正常化へ足並みを揃えた。
ところが現在、FRBもECBも金融緩和へ向かい、隣国デンマ-クもマイナス0.75%へ利下げした。にもかかわらず、スウェーデンクロ-ナはユ-ロ等に対して下落している。
EUR/SEK 長期推移
金利差ではない、スウェーデン悲観の材料に注目されている。
スウェーデンの有名企業として、スカンジナビア航空、イケア、ボルボ、エリクソンがあるが、ドイツと同様、製造業が国を支えている。米中、そして欧州も景気減速の中、スウェーデンも景気減速が目立っている。
スウェーデンの企業景況感は大きく悪化。また、製造業PMIも50は割りこんでいないが、大きく低迷している。
そのような中、スウェーデンクローナの先行きを不透明にしているのは、とりわけ住宅価格動向と言える。スウェーデンの住宅価格は過去10年で2倍となったため、今後急落して金融システム全般に悪影響を及ぼす事態を懸念する声が聞かれる。
規制当局は既に銀行にリスク軽減のためより多くのバッファーを積むよう指導しているが、「あるロンドンのヘッジファンドのマクロストラテジストは、住宅価格を巡る問題を主な理由としてスウェーデンクローナの買い持ちを解消したと打ち明けた。(ロイタ-)」
古来から典型的なバブル経済の主役は不動産バブルだが、スウェーデンはそれにハマってしまった。
2017年後半に住宅価格の下落で調整が入ったものの、その後も緩やかな上昇が続いている。消費者信頼感も、失業者の増加、失業率も悪化、経済指標の多くが悪化する中、住宅価格、不動産価格、株価だけ上昇している状況にある。
このような逆相関関係を何と呼んだらいいのでしょう? いわゆる「バブル経済」でしょうが、それもバブル経済の末期にある、そう言えそうです。