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米中関税合戦はますますエスカレート

米国と中国の貿易問題をめぐる閣僚級の交渉は9日は、中国が米国の要求で折り合わずに終了し、トランプ政権は中国からの2000億ドルの輸入品に対する関税を日本時間の午後1時すぎに25%に引き上げる制裁強化に踏み切りました。交渉は10日も続きますが、米中の貿易摩擦は一段と深刻な事態に陥り、日本や世界経済への影響も避けられません。
元々、中国が完全譲歩するとは思っていない米国通商代表部は、中国からの2000億ドルの輸入品に上乗せしている10%の関税を25%に引き上げる手続きを取ったうえで交渉に臨んで中国に譲歩を迫りましたが、歩み寄れませんでした。
このため予定どおり、日本時間の午後1時1分に関税の引き上げを発動して制裁強化に踏み切りました。中国も対抗措置をとる構えで、関税合戦はますますエスカレートする模様です。
トランプ大統領はさかんに、交渉は「米国にとって」順調に進んでいると繰り返し強調し、市場はお互いの合意は近いと勝手な誤解をしていましたが、今週、中国への態度を一変させ、動揺は日本や世界の金融市場に広がっています。
中国商務省は「大変遺憾だ。必要な反撃措置を取らざるをえない」というコメントを出し、中国も報復措置に踏み切る方針を示しました。中国にとって、勝ち目のない貿易戦争に深く入りこんでいきます。
10日の中国・上海の株式市場は、米国が中国からの輸入品に対する関税を引き上げる制裁強化に踏み切ったあと、いったん値下がりしたにもかかわらず、代表的な株価指数は9日に比べ3%余り値上がりし、政府系ファンドなどが買い支えたのではないかという見方も出ています。
市場関係者は「米中の貿易摩擦がさらに激しくなる中で、資金力が必要な大型株を中心に買いが入った。政府系ファンドなどが、株価が下落しないよう買い支えたという見方も否定できない」と話しています。
今のところ、買い筋、売り筋、思惑が交錯しています。

EMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、鴻海精密工業の郭台銘董事長は、経済誌「天下雑誌」のインタビューに応じ、中国深セン市と天津市にある工場の生産ラインを台湾高雄市に移転する可能性があることを明らかにした。同誌が伝えた。

日経新聞
台北=伊原健作】台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は9日までに、中国の重要拠点である広東省深圳などから、台湾南部の高雄へ生産設備の一部を移転すると明らかにした。米中貿易摩擦の影響を回避する狙い。電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手の鴻海の動きは、世界のサプライチェーン(供給網)にも影響を及ぼしそうだ。

英国でブレグジットにより企業が離れていくのと同様、中国からも企業が離れつつある現状が確認できます。
中国を「裸の王様」としたい米国の狙いは、少しずつ進んでいるようです。