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Brexit危機 「偽りの安定」

英離脱巡り独仏にきしみ、マクロン氏が長期延期に猛反対

ロイター
欧州連合(EU)が10日に開いた臨時首脳会議で、フランスが英国の離脱期限延期を巡って拒否権を発動する事態は避けられた。
多くの人々は、かつてシャルル・ドゴールがEUの前身である欧州経済共同体(EEC)に英国が加盟するのを拒否したような場面が、もしかしたら再現するのではないかと思っていたのだ。
実際にマクロン大統領は拒否権こそ使わなかったが、首脳会議で強硬論を展開し、戦後のフランス指導者が持ち続けてきた矜持を維持した。ただそれによって多数の加盟国が賛成していたブレグジット(英のEU離脱)の1年延長を阻止した結果、主にドイツの当局者をいら立たせてしまった。
これは欧州においてドイツのメルケル首相が発揮してきた精神的なリーダーシップに積極的に異を唱えようとする新たな動きなのかもしれない。背景にはメルケル氏の退任時期が近づいていることや、決断を先送りしがちな同氏の政治姿勢に対するフランスの不満の高まりがある。
マクロン氏はほぼ単独で、ブレグジットの1年延期はEU諸機関にとってリスクが大き過ぎるし、欧州議会選を前に有権者に間違ったメッセージを与えてしまう、と他の加盟国を説得せざるを得ない形になった。
フランス政府高官は、ベルギーやルクセンブルク、スペイン、マルタはマクロン氏の考えに共感したと述べた。しかしEU内には、こうしたマクロン氏のやり方はドゴールばりのスタンドプレーにすぎないとの厳しい目も存在する。
EU首脳会議はブレグジットを10月末まで延期することで折り合ったものの、翌11日にはドイツ側の不満が明らかになった。メルケル氏の与党幹部はツイッターで「ブレグジットの延期期間はもっと長い方が良かったのに、マクロン氏が自分の選挙戦と利益を欧州の結束よりも優先した」と批判した。
フランスのある外交筋は、マクロン氏はドイツとの間で体裁を整えるだけの妥協には満足しなかった半面、オランダやデンマークスウェーデンとは協力したかったと打ち明けた。「われわれは孤立したリーダーシップ─たとえそれが光栄ある孤立だとしても─ではなく、あくまで他国を結集できるリーダーシップを追求している」という。
それでもマクロン氏の考えでは、ぎりぎりまで決断をしないメルケル氏の姿勢は、ブレグジットの過程で逆効果をもたらす。EUは英国をつなぎ止め続けて2016年の国民投票結果を反故にしようとすべきでなく、それは欧州議会選においてポピュリスト(大衆迎合主義)勢力がEUは民意を無視していると攻撃する格好の材料を与えてしまう、というのがマクロン氏の主張だ。

在庫が隠すBrexit危機 「偽りの安定」政治が弛緩

日経新聞
「偽りの安定」が英国の景気や市場を覆っている。欧州連合EU)からの離脱議論が迷走し、不測の事態に備えて企業が在庫を積み増した結果、景気が実態以上に押し上げられ、政治家の危機感が薄れてしまうという皮肉な構図だ。EU離脱の期限は2019年10月まで延びたが、時間の空費が続き、「合意なき離脱」に突き進むようなら、危機のリスクが現実味を帯びる。
英国経済の実態は冷え込み始めている。仮に在庫指数が中立水準なら、3月の製造業PMIは2ポイント近く下振れしていた計算だ。
サービス業も含んだ総合PMIは50ちょうどだが、実力ベースでは40台でもおかしくない上、企業が英国を去る動きが本格化する恐れがある。