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英企業襲う金利上乗せ 「ブレグジット・プレミアム」

ロイター
英企業は、ブレグジットがどのような形で進もうとも業績悪化が見込まれるとして、金融市場からの資金調達で欧州の同業他社よりも高い金利、つまり「ブレグジット・プレミアム」を求められる傾向が強まっている。
ブレグジットは期限まで4カ月を切ったが、英国が合意なしに離脱するリスクがくすぶり、メイ英首相がまとめた離脱協定案は11日の英下院採決で否決されるとの見方が広がっている。
なお、何らかの合意が検討される公算が最も大きく、最終的に英国がEUに残留する可能性も高まっている。しかし英企業が資金調達のために発行する社債の利回りは欧州の同業他社に比べて高く、その差はこの数年で最大に開いた。
BNPパリバ・アセット・マネジメントのグローバル・コーポレート・クレジット部門の責任者、クリストファー・オービティー氏は「ブレグジットを巡る先行き不透明感から英企業の社債はこのところ利回りスプレッドが拡大している。英企業の社債は平均して、イタリアを除く欧州企業の社債に対してアンダーパフォームしている」と述べた。
英通信大手ボーダフォンは先月の25億ユーロの新発債発行に当たり、投資家を集めるために利回りを30─40bp上乗せせざるを得なかった。インターナショナル・ファイナンシング・レビューによると、同業の英BT(BT.L)も7億5000万ポンドの長期債発行で投資家からの引き合いが弱かった。
こうした動きから投資家の間では幅広いセクターで、ブレグジットにより英国とEU諸国の結び付きが緩むことへの警戒感がはびこっていることが読み取れる。
また、こうした不安感は英国の内需に依存する企業の株価も圧迫しており、内需依存型企業は輸出依存型企業を大幅にアンダーパフォームしている。
シンクタンクのNIESRによると、英国は来年3月に合意なしにEUを離脱した場合、2030年までにEU残留の場合と比べて経済が5.5%小さくなる。イングランド銀行(英中銀)はブレグジットの経済への影響について、最悪のケースでは2008─09年の世界金融危機を上回るとまで試算している。
ブレグジット・プレミアムは幅広いセクターで見られるが、経済成長と連動する景気循環型企業と銀行の両セクターで最も顕著となっている。社債の種類ではユーロ建て債、債券市場の種類では既発債が取引される流通市場で目立っている。
英企業はこのほかセキュリティー会社のG4SやバークレイズやHSBC社債の利回りが欧州の同業他社を上回っている。
英国は、たとえメイ首相の離脱協定案が下院で承認されても、EU離脱で経済が悪化すると受け止められており、協定案が成立しても英企業は資金調達で欧州企業よりも高い金利を求められるとみられる。
NIESRの試算によると、メイ首相の提案が承認されても、英国は2030年までにEU残留の場合と比べて経済が3.9%縮小する。
ブルーベイ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、カスパー・ヘンセ氏は「(合意のある)ソフトブレグジットであっても、英企業の欧州向け輸出の条件は不透明だ」と述べた。


ブレグジット・プレミアム」は社債に限らない。
これから英国のソブリン格付けにおいても格下げされることは避けられず、国債価格下落、金利上昇となっていくでしょう。これは「悪い金利上昇」とも言えることで、デフォルトリスクの織り込みということになります。