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米国  中国の侵略的行動を許さず

米国の国家防衛戦略委員会の委員長を務めているラフェッド元海軍大将は、中国による侵略的な行動が原因で米中関係が協調よりも競争の関係に変わったと指摘し、米中首脳会談では南シナ海などでの中国の行動を改めて警告すべきだと強調しました。
議会が設置した超党派の諮問機関、「国家防衛戦略委員会」の委員長を務めているラフェッド元海軍大将は、NHKのインタビューで「米国は10年前はもっと中国に協力的で、中国を国際社会のシステムに組み入れるべく努力したが、次第に中国は米国と異なる立場であることが明確になった。中国の行動とふるまいが米国の考え方を大きく変えた」と述べました。
ラフェッド氏は具体例として、周辺国の反対にもかかわらず中国が一方的に南シナ海で軍事拠点を築くなど、侵略的な行動をとり続けてきたことや、米国軍に対抗するための軍事能力の確保を目指して中国が軍備増強を続けてきたことをあげ、「今、中国と経済的、政治的、それに軍事的に競争しているのだ」と述べ、米中関係が競争の関係に変わったと指摘しました。
また、ラフェッド元海軍大将は「中国は米国から知的財産を奪い、米国を模倣することで技術発展を遂げてきた。米国と中国の軍事能力の差は著しく縮まっている」と強い懸念を表明しました。中国がハイテク分野での覇権を目指して米国の高度な技術を不当に得ていると批判する報告書を相次いで公表し、米国の経済だけでなく安全保障をも脅かしていると警鐘を鳴らしてきました。
国防総省が公表した「中国の技術移転戦略」と題した報告書では、中国がサイバー攻撃や産業スパイに加えて米国のベンチャー企業に多額の投資を行って米国の高度な技術を獲得しているとして、AI=人工知能バーチャルリアリティー、それにロボットなどの最新技術を狙っていると指摘しました。中国のこうした投資を制限する米国の体制が不十分だと懸念を示すとともに、こうした最新技術は米国が軍事技術の優位性を維持するうえで極めて重要で、中国の投資を許せ米国は軍事技術の優位性を失うだけでなく、中国が優位な立場になるのをみずから後押しすることになると危機感を表しました。
また、ホワイトハウスが6月に発表した「米国と世界の技術と知的財産権を脅かす中国の経済侵略」と題した報告書では、中国が米国などの外国の企業に対して、中国の市場に進出する見返りとして技術の移転を強制してきたほか、米国の企業から携帯電話やデータ通信、それにロボットや衛星通信などの企業秘密を盗み出すため、サイバー攻撃や産業スパイを仕掛けてきたと非難しました。
さらに、国防総省が先月発表した「米国の防衛産業の基盤とサプライチェーンの評価」と題した報告書では、米国軍の兵器の部品、それに弾薬やミサイルの原料の調達先が中国になっていて、米国の防衛産業が中国に大きく依存していると指摘しました。
そのうえで、米国の防衛産業は米国内で製造する能力が著しく衰えているのに対して、中国は国内外に投資し米国の防衛産業も使用するレアアースなど貴重な資源を独占しつつあると説明し、米国の経済だけでなく安全保障をも脅かしていると警告しました。
また、米国議会が設置した超党派の諮問機関「国家防衛戦略委員会」は今月発表した報告書で、「中国やロシアが地域的な覇権を求めて軍事技術を高め、軍備を増強している」としたうえで、とりわけ中国が技術的に米国よりも先行している超音速兵器の開発などに懸念を示しました。米国の防衛産業を建て直し、軍事技術の優位性を維持する必要性や、西太平洋地域に米国軍を前方配備する重要性を強調しました。