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米国 INF=中距離核ミサイル全廃条約の破棄濃厚

トランプ大統領が、INF=中距離核ミサイル全廃条約をロシアが順守していないとして破棄する考えを示したことについて、ボルトン大統領補佐官は22日、ロシアのラブロフ外相などと会談し、説明する見通しです。米国は、ロシアの対応次第で条約を破棄する手続きに踏み切るとみられています。
米ソ冷戦時代の1987年に米国と旧ソビエトが調印し、現在はロシアが履行義務を引き継ぐINF=中距離核ミサイル全廃条約が破棄されれば米国とロシア、そして中国による軍拡競争の危険性が一段と高まるおそれがあるだけに、会談の行方が注目されます。
英国のウィリアムソン国防相は英国のメディアに「われわれは、ロシアが条約を順守する必要があるという明確なメッセージを伝えるアメリカの立場を強く支持する。条約が継続されることを望んでいるが、ロシアは条約に違反していて、対応を改める必要がある」と述べ、ロシア側を批判しました。
こういった流れになることは、前々から想定されていました。前にこのブログ記事で採りあげましたが、トランプ政権は、2018年の1月下旬に公表した「国防戦略 2018(NDS-2018)」において、「大国間角逐(かくちく:互いに争うこと)」こそが米国の国防にとって最大の脅威であるという、国際軍事環境に対する現状認識を示していました。
マティス国防長官は「NDS-2018」に関連して、「米国軍は世界規模での対テロ戦争に打ち勝つための努力を継続していくものの、国防が最も重視しなければならないのは 『対テロ戦争』 ではなく 『大国間角逐』 である」と明言しました。
すなわち、トランプ政権下における米国防戦略の基本方針は、大国間角逐、つまり「軍事大国の間における強度な競合」という軍事環境に突入したという現状認識を大前提にして、そのような大国間角逐に打ち勝つことによって米国の国益を維持する、というものである。米国にとっての大国間角逐とは、具体的には「中国の軍事力、ロシアの軍事力、との熾烈な競合で打ち勝つ」というものです。
こういった米中ロが熾烈な争いになると、日本への風当たりは一時的にも弱まるので環境は悪くありません。かつて米ソ冷戦時代、米国とソ連(ロシア)という2匹のライオンの戦いを山頂で眺めるのが、中国最良のポジションだった。実際、中国は、米ソ冷戦(2匹のライオンの戦い)の中で、日米から無尽蔵の支援を受けて成長してきたといえる。
これからしばらく日本は心地いい位置にいることになりますが、いずれ米国から「おい日本!お前はどっちの味方なんだ!?」と迫られることでしょう。そうなってくると、日本も米ロ冷戦、米中冷戦で英国をはじめ西側諸国とともに行動を共にするしかありませんが。

BBCニュース
ネバダ州で開いた支援者集会の後、トランプ氏は記者団に対し、「ロシアは長年条約違反をしてきた」と離脱理由を述べた。
INF全廃条約は、射程範囲500~5500キロの核弾頭および通常弾頭を搭載した地上発射型の短距離および中距離ミサイルの廃棄を定めたもの。
トランプ氏は、「自分たちができないのにロシアは好きに兵器ができる」のを米国は容認しないと述べ、「どうしてオバマ大統領が交渉や離脱をしなかったのか分からない」、「ロシアは何年も違反してきた」などと批判した。
INF条約にもとづき、1991年までに2700基近くのミサイルが廃棄された。相互査察も実施された。しかし、ブッシュ米政権が2002年、対弾道ミサイル(ABM)条約を失効させたのに続き、2007年にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、INF全廃条約はロシアの国益のためにならないと宣言していた。
米政府が主要軍縮条約から離脱するのは、この2002年以来となる。

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